button ジェイミー・カラム @ 渋谷AX (6th Dec '06)

弾けるジェイミー、留まる歌声
Jamie Cullum
「ライヴが好きで好きで仕方がないんだな」

 ステージを弾けるように駆け回り歌うジェイミー・カラムを見ているとそう思う。CDからはまったく想像がつかない、次から次へと楽しいアイテムが飛び出す手品みたいなステージング。激しいとかポップとか簡単な言葉だけではいい表せないエンタテイナーっぷりをツアー最終地である日本で見せてくれた。

 満員の渋谷AXに登場したジェイミーはジャケット&ネクタイ、ベストにデニムを合わせ、髪型は若き日のベートーベンか!? といういでたち。音楽性と同じく服装も折衷スタイル? ビール片手にごきげんな様子でピアノに座り、即興で鍵盤をいくつか鳴らした後、"Photograph"で静かにライヴをスタートさせた。AXの高い天井から落とされたピンスポットを螺旋を描きながら上っていく歌とピアノの音色。会場中からため息がもれた。

Jamie Cullum  しっとりとした幕開けではあったけれど、これで終わるわけがないのは周知の事実。ハンドマイクに移動した2曲目からはジェイミーのショウマンシップ全開となるのだ。全身でリズムをとり音を感じながらステージ上を動き回る。フリューゲルホルンを取りだして口で音マネをしたり、ターンテーブルをいじって遊んでみたり。ピアノの上から飛び降りるパフォーマンスはすでに定番化している。歌から身のこなし、ルックスとスタイルまで、すべてを"見せる"アーティストだ。"These Are the Days"ではお客さんにフレーズをしこんで大合唱させ、ひとつの曲を作りあげた。「(耳のうしろの髪をいじりながら)僕がこうやったら歌いはじめる合図だよ」なんてチャーミングなしぐさに、とろけそうになっている人多数。自分が楽しむのはもちろん、周りの人みんなをハッピーにさせるジェイミーの魔法にすっかりやられてしまった。

「ジャンルを越えた」とか「ジャズとポップの融合」とか、もうあちこちで言い尽くされた言葉で、あえてここで書くことではないことは分かっている。しかし、このライヴを観たら、そう言わずにはいられない。CDショップに行けば"Jamie Cullum"はジャズのコーナーにあるし、「UKジャズ界の貴公子」なんて言われ方もしている。「ジャズには興味ないし」という理由でジェイミー・カラムを聴いていない人がいたら、それはすごくもったいない。いい歌が聴けて、踊れて、胸を打たれて、心から笑顔になれるライヴを求めている人(あと、かわいい男の子が好きな人)はぜひ、実際のステージを観て欲しい。

Jamie Cullum  ピアノを手でたたいて(鍵盤以外の場所です!)ビートを刻むジェイミー、ヴォイスパーカッションでひと味違った才能の一端を見せるジェイミー、マドンナの"Hands up"をさらっとくちづさむジェイミー、おもちゃを与えられた子供みたいな顔でドラムを叩きまくるジェイミー、バンドメンバーに客席に投げ込まれそうになるジェイミー、ステージの端からピアノに向かってダッシュするジェイミー…。約2時間のステージの中で、いろんなジェイミーをあますところなく見せてくれた。こうやって書くと、まるでパフォーマンスだけが突出しているようだが、もちろん魅力たっぷりの歌があるからこそできること。音源で聴くよりも渋味のある声、思わず口ずさみたくなる、耳と心に残るメロディライン。ときおりマイクを外して歌うのだけれど、それでも会場のすみずみにまで届いている。一瞬たりとも止まらずに動き続けるジェイミーは、どこまでも弾けるスーパーボール。形はバウンドしたらどこに飛んでいくか分からない多面体。でも、その歌が辿り着く最終着地点はお客さんの胸の中だって決まっているんだ。

 翌日の日本公演で18カ月に渡るワールドツアーを終えたジェイミー・カラム。次に日本に来てくれるのはいつになるのだろうか? それまで、長い片思いが続きそうだ。


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