アイドルワイルド @ スカラ、ロンドン (4th Dec. '06)
北の音、弾ける
スコットランドはエディンバラ出身の5人組、アイドルワイルドの4作目のアルバム『ウォーニグンス・アンド・プロミスィズ』は、初期3作までに通じるガシガシとしたノイジーなサウンドとパンクやハード・コアの激情が影を潜めたかわりに、より叙情的で感傷を誘うメロディと、抑揚のある曲の母体作りに重きが置かれた円熟の作品で、これはこれでバンドとしての音楽的道程が反映されているようで興味深い。しかし、今夜の彼らの久々ロンドン公演でのセットリストは、その過去のラウドな世界観に痺れたファンには嬉しいほど、エッジィでスパイキーな展開が全面に出、その迫力に思わず腰がおののいた。
特に序盤3曲の背中に緊張が走るほどの攻撃的なギター、暴れん坊の如し唸るベースに弾けるドラミング。と、ここまでくれば良くあるパンク、ガラージ・バンドの音が予想されるが、フロントマン、ロディの匂い立つ、穏やかな歌声がそのはやるテンポをそっと抑える感じで温かく被るものだから、耳をつんざかれることなしに自然に体に響き、力強い音にも食傷気味になってしまうことはない。とかく一本調子に聴こえがちな激走するだけのロックならば、一過性の興奮のために曲調そのものや、歌詞に意識を払う余裕がなくなってしまうが、中間にメロウな曲を挟んで緩急をつけた彼らの演奏では、ロディの詩人然とした自問と模索に満ちた深い言葉の世界、良質のメロディ、そしてそれを紡ぎ上げる声の魅力を十分に味わえる。
彼らの放つ音には華やかさはない。むしろ、地味である。特にポーズを気取ることも、クールに振る舞う事もない、素朴なスタンスは同国出身のトラヴィス、ベル・アンド・セバスチャンらの面々と通じ、より親しみを感じさせる。しかし、その自分達が確立する世界観をじっくり聴かせる確固たるパフォーマンスには、一度彼らを好きになった聴き手を掴んで離さない魅力と自信が溢れている。アイドルワイルドの静と動が混在した音楽が日本の誰かにも語りかけている事を願いたい。
-- setlist --
Roseability / Argue Takes You World / I Want A Warning / I Am A Message / Motion / Little Discourage / Love Steals Us From Loneliness / Ghost / I Understand It / American English / El Captain / Satan Polaroid / A Modern Way / Of Letting Go / In Remote Part / Scottish Fiction / encore / I am What I am Not / Everything / Live In A Hiding Place / Bronze Medal |
report and photos by kaori
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北の音、弾ける : (06/12/04 @ Scala, London) : review & photos by kaori
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