buttonザ・ズートンズ @ ラウンドハウス、ロンドン (3rd Dec. '06)

オらがバンド、ザ・ズートンズ!


The Zutons
 好きなバンドやミュージシャンのCDを聴いて良かったのでライヴを観に行ってみたら期待外れだったり、そのまた逆で、CDではそんなに印象がなかったのにライヴを観たら思いのほか素晴らしかったり、という経験をした人は決して少なくないだろう。勿論、演じ手とて人間だからその時の状況や体調などで演奏の善し悪しに影響が出るのは想像できる。完璧に演奏することが最高のミュージシャンであるという定義などそもそもないのだし。しかし、師走に突入した月始めの今夜、カムデン・タウンの外れ、ほぼチョーク・ファーム寄りにある多目的コンサート・ホール、ラウンドハウスに現れたリヴァプール・ベースの5人組、ザ・ズートンズは、そのCDの出来映えと、実際のライヴ共に多くの聴き手を唸らせる、最も優れたバンドの一つだ。

The Zutons  赤い幕が開き、セカンド・アルバムのアートワークを背にメンバーが現われると観客の大歓声が上がる。1曲目からしてヴォーカリスト、デイヴのバタ臭くも実に味ある歌声が円形の会場に広がり、グルーブの絶妙なベース・ライン、色気のある濃密なギター・リフ、そして、紅一点アビの華奢な体とはもまるで釣り合わない逞しいサキソフォンが、バンドの素晴らしき一体感によりどの曲にも飽きずに楽しくダンスを誘うポジティヴな響きをもたらしている。観客が思い思いにノッているのも微笑ましい光景だが、彼らのバンドとしての最たる魅力は何といっても本人達が至って楽しそうにプレイしていることだ。リヴァプール訛りの英語も隠す事なく常にナチュラルな彼らは近寄り難い神々しさを放つタイプのミュージシャンではないけれども、演じ手が自分達の音楽を楽しみ、それを観る客ももっと楽しくなり嬉しくなり、と素朴な親密さが生まれ、音楽、それを聴く場所がより心に残る。気取らずに、気負わずにそれが自然発生していること自体、ズートンズが多くの人達を魅了する理由なのではないだろうか。

The Zutons 粘っこいギターに癖になるメロディ、コーラスが何とも良い"プレッシャー・ポイント"、"ユー・ウィル・ユー・ウォント"はいわずもがなファンの間のアンセムであり、大合唱とくねくねダンスがあちらこちらで見られる。ジャム・セッションの様にクールなインストルメンタルを挟み、熟練味とこってりとしたカントリーの世界感が強い"コンフュージョン"、"リメンバー・ミー"。ここではまろやかな流れを作り会場の雰囲気を興奮からリラックスィング・ムードに切り替え、セカンド・アルバムからの曲に繋げる。そしてアンコールは優しく肩が揺れる"ヴァレリー"。誰もが口ずさめるようなメロディながら、聴けば聴くほどに楽曲そのものの良さが際立つ一曲。このズートン・フィーバーにかかったが最後、彼らの魅力は深く、妖しく、果てしない。


-- setlist --

Why Won't You Give Me Your Love / Don't Ever Think / Dirty Dancehall / Oh Stacy(Look What You Have Done) / Secrets / Little Things We Do / Pressure Point / Improvisation / Moon And Horror Shows / Confusion / Remenber Me / Tired Of Hanging Around / Hello Conscience / You've Got A Friend In Me / You Will You Won't / encore / Zuton Fever / Valerie
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