モーサム・トーンベンダー @ 渋谷AX (2nd Dec '06)
イビツなのに美しいロック
ギターなんて誰が弾いたって同じじゃないかって考えは明らかに間違っている。ギターの音は誰が弾くかで決まるのだ。今日のモーサムのライブの音を聞いていたらふとそんなことを考えていた。誰が同じギターを弾いたって百々と同じ音なんて出せっこない。ライブが終盤に進むに連れドンドン音圧が高くなって、頭がクラクラしてくる。それは獣の咆哮のような感じ。気を抜いたら噛み殺されそうになる。本能のままに鳴らされた音の塊をまき散らす。あんなギターの音どこでも聞けるという類いのもんじゃない。
今回のツアーはリリースの狭間ということもありメンバーも非常にリラックスして演奏を楽しんでいた気がする。セットリストも夏フェスあたりまで続いていた'ロッキン・ルーラ'モードは幕を降ろし、新旧織り交ぜた内容を聞かせてくれた。中盤あたりはいつもの張り詰めまくった空気も薄く、バンドのアンサンブルにじっくり耳を傾けた。改めて冷静にこのバンドを聞いてみると、ベースの武井が弾く音の芯の太さってもの凄い。一見するとそのパフォーンスに目を奪われがちだが、そんな見た目とは裏腹にフロアの激しさは彼のベースにつられる部分が非常に大きいのだ。それは、ドラムスの藤田との絡みもしかり。モーサムの場合曲によっては打ち込みの音を重ねてはいるが、フィジカルにくるリズムを作り出しているのはやはりこのふたりだ。
そんなリズム隊の上で気違いじみた音を放電する百々。実はこのバンンドの中で一番ぶっ飛んでいる男。終盤、夏にリリースされたシングル、"ユー・アー・ロックンロール"のプレイあたりから怒濤の爆音が鳴らされ始める。ただ6本の弦を鳴らすだけなのに、聞く者を狂気に誘い込む音のシャワー。そして、派手過ぎるギターソロ。あそこまでいくとバンドのアンサンブルとしてそれがありなのかどうかの判別もなくしてしまうぐらい突き抜けている。この、突き抜け具合がモーサムのあり得ない部分なんだと感じた。それはこの日の演奏された"ロッキンルーラ"とか、"ばちかぶれ!& quot;なんかを聞いていて思ったのだが、曲の中にイビツな部分の存在。その部分を担っているのは主に百々だと思うが。突然出てくる裏返った声とか、意味不明な歌詞とか、何かを無視したような曲の展開の仕方とか。疾走感溢れるロックバンドと言ってしまうにはかなり違和感が生じる。実はこの違和感こそがこのバンドのミソなんじゃないか。それは、これまでモーサムというバンドにいだいていた、衝動とか焦燥感とかそんな言葉のイメージを完全に覆してしまった。正の中に奇を衒い、奇の中に正を生む。だからこそイビツさを素晴しく美しい音で聞かせることが出来るんだろう。モーサムのロックってこういうことだったのか。
この日も何曲が披露されていたが、来年2月には新しいアルバムも届けられるようだ。アンコールが終わっても止むことない客席からの拍手には次の音への期待も十分だったのではないか。次はどんな正と奇を見せてくれるのか。モーサム・トーンベンダーというバンドが孕んだ安定なんて言葉とは無縁な音を心して待ちたい。ギターの音だけじゃない、モーサムという音はここでしか聞けないのだから。
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report by sakamoto and and photos by saya38
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The official site
Mo'some Tonebender
http://www.mosome.com/
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