ポップ・セイヴ・アス Vol.5 feat. チャーリー・ブラウン & ベイスボール・チーム、花田裕之 & ハリス @ 下北沢ベイスメントバー (27th Nov '06)
どこまでもフリースタイル、Pop Save Us!
ハリスが隔月でお届けしているPop Save Usはどこまでも自由な空気が流れるイベント。出演者もバンド、弾き語りとスタイルにこだわらずに演奏できるのも「なんでもやっちゃって!」というような主催者の懐の広さがあってこそだ。
この日の対バンはチャーリー・ブラウン&ベースボールチームと花田裕之。前回に引き続き登場のチャーリー〜はメンバーもステージングも音もすべてが自由奔放。彼らはライヴのことを"ジャック"と呼ぶらしいが、まさに会場がジャックされた感じ。手に持ったステッキをブンブン振り回して歌うチャーリー・イシイ三世は、あっちこっちをひっかきまわしてやりたい放題。他のメンバー5人も、投げ縄でとらえようとしてもスルりとすり抜けて暴れだす。まるで西部劇のならず者。そんな彼らに翻弄されて、最後にはもう笑うしかない状態に。予測不可能な動きを見せるこのバンド、イシイリョウスケ…おっと間違えた、チャーリー・イシイ三世率いるベースボール・チームは、これからどんなメンバーでどんな"ジャック"を見せてくれるのか。そしてその名の通り9人揃ったベースボールチームでステージに上がる日はくるのか!? 今後の動向が気になって仕方がない。
ぐしゃぐしゃにひっくり返った場内を蒼く静めたのは花田裕之。ピンスポットに照らされて淡々と歌う姿に、会場中が引き寄せられた。前後にどんなバンドが出ていようが、自分のスタイルを崩さない。表現したい世界観がはっきりしているから、それでも浮くことはないし、場に自然に溶け込んでしまう。淡々とライヴをすすめ、時間はゆっくりと流れるけれど、胸の真ん中に残るものはしっかりとある。そんな歌をうたえる人にはなかなか出会えないと思う。最後の"路地裏のブルース"では空気が震え、心臓が高鳴る感触が手でつかみとれるようだった。
花田裕之が完璧に限りなく近いミュージシャンだとしたら、ハリスは完成されていないところが魅力のバンド。いい時も、たまにはイマイチなこともあるけれど、そこから着実に成長していく可能性が見える。ライヴ構成が大きく変わらなくても、毎回違う発見があって、見る甲斐があるのだ。今回ステージを観て浮かんできたキーワードはセクシー&チャーミング。もともとポップで楽しい! ライヴを魅せてくれるバンドだけれど、そこに色気のあるカッコ良さが加わって、またひとつ幅が広がっていた。レコーディングが終わったばかりの新曲は、無駄がそぎ落とされた新しいハリスがいっぱいに詰まっている。3月には初のフルアルバムが発売されるとのこと。ライヴ同様、こちらからもいろんな可能性が見えそうだ。
アルバム発売を前にして、ますます自由に加速していきそうなハリスとPop Save Us。このイベントのvol.6は1月31日、場所を下北沢クラブ・キューに移して開催される。
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photos by wacchy
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