ザ・シャーラタンズ @ HMV、ロンドン (16th Nov. '06)
節目も何も、余裕です
過去の英国バンド・シーンを再考する上で欠かせない、多大なる影響を与えたマンチェスター・ムーヴメント。ストーン・ローゼズ、ハッピー・マンデイズ、ノースサイドといったバンドが、アシッド・ハウスというテイストを汲みそこから多くの踊れるロックが生まれ、既存のジャンルに衝撃を与えた。そのシーンから生まれたバンド、ザ・シャーラタンズは今日に生き残る実に多作なバンドであるが、このほどデビュー16周年を記念し、過去にリリースしたシングル全18枚を収録したベスト・アルバム『フォーエヴァー』発売にかけて、インストア・イヴェントを開催。
30代と見受けられる世代の観客がフロアを占める中、メンバー5名が壇上へ。ややふっくら気味のフロント・マン、ティムが客席に手を振り、"マイ・ビューティフル・フレンド"が始まる。手を前後に動かしながら小刻みにリズムを取るティムの独特な声がマイクロフォンに絡み付くように聴こえて来る。淡々とした演奏っぷりのギタリスト、マーク、ベーシストのマーティン、まるで、朝飯前だぜとでもいっているような平静とした表情のドラムス、ジョン。軽やかで躍動的なメロディの波間をたゆたうキーボーディストのトニーが唯一、我が道顔で歌い続けるティムに情熱的に絡んでいる様子だ。けれどもこのバンド全体に漂うどっしりとした落ち着きが、彼らが辿って来たバンド人生をまさに物語っているようで、凄みがある。
デビュー作から今年4月に発売された9枚目の『シンパーティコ』まで、各アルバムを代表するシングル曲には、サイケデリックなギターの音色、南部音楽の雰囲気の濃さ、内省的な美しさ、愛情に包まれた人間らしい詩の世界と、その時のシャーラタンズの色がどれも限りなく反映されているが、彼らの核であるティムの温かい歌声と、目をつぶりながら体を動かしたくなるグルーヴ感はまさにシャーラタンズ・サウンドの最たる魅力。貫禄、十分。
-- setlist --
My Beautiful Friend / Blackened Blue Eyes / Tellin' Stories / North Country Boy / You're So Pretty, We're So Pretty / Up At The Lake / One To Another |
report and photos by kaori
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