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ミステリー・ジェッツ
@ 心斎橋クラブクアトロ (4th Nov. '06)

ライブ治癒力

Mystery Jets
 ええなぁやっぱりライブって。

 今年のフジロック・フェスティバルに出演し、東京ではその後のアフター・パーティーでもライブを行ったミステリー・ジェッツ。残念ながら、そのどちらも見ることができなかったため、日本の観客の反応がどういうものなのか全く想像がつかないまま会場に向かった。そんなことを気にするのは、ライブの良し悪しを左右する要素のひとつが観客であると思っているからなのだが……。

Mystery Jets 実際、彼らのライブを初めて見た今年3月のロンドン公演は、暴れて騒ぎたい若者の多さにただただ興醒めしてしまっただけであった。デビュー・アルバムが発売された数日後のその公演、大き過ぎた音量を除けば、バンドの演奏やパフォーマンスそのものはそれほど悪くはなかったように見えたにも関わらず、「しまった、やはり見に来るのが遅すぎたか」という言葉しか出てこなかった。チケットが完売だろうが、ビールが降ってこようが、人が頭上を通過しようが、おしくら饅頭状態になろうが、必ずしもそういったことと「盛り上がる」ということは同義語ではないのだと思う。もちろん、少々の身の危険を感じながらも汗だくになって体を動かしながら音を聞くことは楽しいし、会場全体で大合唱するのも気持ちいい。何を持ってして「良いライブ」というかは人それぞれだが、ステージからのエネルギーと客席からのエネルギーが混ざりあって化学反応を起こし何かが生まれたのを感じた瞬間、「うわっ、エエなぁ今日のライブ」と思うことがある。どんなバンドかよく知らないがとりあえず会場に来てみたという人もそんな何かをこの大阪公演で感じたのではないだろうか。この日のライブはそういったものであった、と思っている。

Mystery Jets デビュー・アルバム『メイキング・デンズ』は自分にとって今年のベスト3に入るアルバムだ。聞けば聞くほどその言葉が響いてくるものであり、今年最も多く聞いていた作品となった。しかしながら、現地で発売日に購入したにも関わらず、ようやく耳にしたのはライブを見てがっかりした数週間後。その際、迫力という点においてはあまりにもアルバムとライブでは差がありすぎ、やはりライブが恋しいと感じたのであった。そんなことを再び思い出したのが、1曲目の"The Boy Who Ran Away"が鳴った瞬間。そして同じ瞬間、決して大入りではなかったのだが、会場の床が大きく揺れ始めた。

 前方で元気に跳ねていたファンの熱意は決して興醒めするような類のものではなく、むしろ微笑ましい光景に見えた。ツアーがずっと続いているにも関わらず、それでもまだステージで演奏することが楽しくて仕方ないといった表情のメンバー。そんな彼らから奏でられる音が生き生きとしていないはずがない。ライブでは曲のテンポはやや速め。楽器をとっかえひっかえしているにも関わらず、曲間がだれることはない。リップ・サービスの利いたMCも効果的。本編終盤、新曲"Half in Love with Elizabeth"を披露した後、最後の1曲だと告げられると観客は当然ながらブーイング。「あと2曲の方ががいい?」との問いに会場は大きな拍手で答える。ということで、なのかどうかは本人たちに確かめていないので定かではないが、セットリスト上にはアンコールの欄に書かれてあった"Lizzies Lion"を本編最後となる"Alas Agnes"の前に持ってきた彼ら。そして、アンコールの"Zoo Time"。これぞまさにライブで聞かねばならない1曲だ。

 演奏力や技術力に関して言えば、多少不満に思う人もいるかもしれない。だが一番大切な部分は決して欠けていないと思う。見る人の心に小さな灯りをともすようなそんなライブ。バンドだけでなくクルーも含め、どうして彼らはみんなあんなに優しい笑顔を見せることができるのだろう。人の温かさってこういうものだったのだということを、ここひと月ばかり完全に余裕を失っていた自分に思い出させてくれた、そんなライブだった。

 こんなことなら、名古屋公演も見に行けばよかった……。



- Setlist -
The Boy Who Ran Away / Purple Prose / Inside Four Walls / You Can't Fool Me Dennis / Little Bag of Hair /
Horse Drawn Cart / Soluble in Air / Diamond in the Dark / Half in Love with Elizabeth / Lizzies Lion / Alas Agnes - encore -
On My Feet / Zoo Time


Mystery Jets
report by miyo, photos by ikesan
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