レイザーライト @ ウェンブリー・アリーナ、ロンドン (1st Nov. '06)
新世紀・ロック・スター
長方形に伸びるアリーナは満杯のお客さんで熱気の飽和状態。デビュー・アルバムを大いに売り上げ、数多くのギグ、フェスティバル、そしてライブ8など多岐に渡る経験を積んだにしろ、たった2枚のアルバムをリリースしただけで、もはやレイザーライトはスタジアムを完売するだけの人気を獲得してしまった。自称天才、ジョニー率いるバンドの真価はこれいかに。
ギンギラギンに照らされたステージをメンバー、一人一人が颯爽と登場。待ちわびたオーディエンスの歓声を一身に受け、ダイナミックなドラミングを皮切りに、最新アルバムから"イン・ザ・モーニング"の溌剌としたギターの響きが会場内にこだまする。全身白で決めたフロント・マン、ジョニーの歯切れ良い歌声が頼もしい程大きく聴こえるのには驚きだ。初期の頃のムラッ気のある音程も歌い続けることで鍛えられたのか、逞しいのである。テリトリーの中で飄々と我が道スタイルでプレイするギタリストのビョーン、終始ドラマーのアンディとはす向かいになる形でベース・ラインを重ねていくカール。リズム隊の安定したコンビネイションがあり、飾らないギタリストがいて、けれども時には欽ちゃんジャンプ奏法で興奮を露にするやんちゃな場面も。そしてとどめは俺様フロント・マン、ジョニー。その力強い歌声とギターに熱中しているさまからはいたってひたむきな姿勢が伝わって来るばかりで、堂々としていて風格さえ漂う。"ゴールデン・タッチ"や"アメリカ"などで観客が自発的に合唱し出し、それを忘我の境地で見つめている姿など、ともすれば風呂上がりにステテコ一丁状態の親父のようなもやしっ子半裸体を除けば、イギー・ポップの様に文句無く格好良い。
インディ、オルタナティヴ、パンク、と実に巧妙で、反面安易な分類の中で苦悩するロック・ミュージシャンは決して少なくないであろう。強いコンセプトで始めても、経験や時間がそれらを変え、音楽も当然それに巻き込まれていく。レイザーライトの新作も、1枚目の衝動性と向こう見ずな若さが影を潜め、より大きな音楽市場を意識した、音自体が聴き易く洗練された曲調が目立つ。ここまで来る過程には本人達は勿論、彼らを支持する人達の中にも色々な意見があるとは思う。ただ、どんなジャンルでも、ことさらロックの歴史を振り返ればいつだってヒーローがいて、そんな彼らに憧れてまた誰かがギターを始めたり、歌を歌い出したりする。2回目のアンコールで口を半開きにして、観客の声援を受ける放心状態のジョニー・ボウエルには、真の意味でそのヒーローとなるにはまだ新たな時間と良い音楽が必要であろうが、21世紀のロック・シーンにおいてスターたりうる強い可能性と期待を感じさせた、口程にある全力疾走のライヴ・パフォーマンスにはお見事、の一言。素晴らしき一夜であった。
-- setlist --
In The Morning/Hold On/Golden Touch/Back To The Start/Vice/La Waltz/America/Who Needs Love?/Not I/Fall To Pieces/Kirby's House/Dalston/Can't Stop This Feeling/Pop Song 2006/In The City [encore1] Milk/Rip It Up/Stumble And Fall [encore2] Somewhere Else |
report by kaori and photos by Nic Walker
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mag files : Razorlight
新世紀・ロック・スター (06/11/01 @ Wembley Arena, London) : review by kaori, photos by Nic Walker
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