ザ・ディアーズ @ ココ、ロンドン(26th Oct. '06)
聡明な音楽
白熱のライトに照らされたフロントマン、ミューレイ・ライトバーンの首に巻かれた真っ赤なスカーフがひどく目立つ。全体的にシックな茶系で統一された衣装に身を包みステージへ現われたメンバーは挨拶もそこそこに最新アルバムの"シンストロ"からスタート。一体感のある弾む音が会場の前方に広がり出す。どの楽器も押しと引きのバランスを心得た、調和の取れたアンサンブルを成し、そこへミューレイの優しさと同時に底の知れない深遠さをもたたえた素晴らしい声が乗る。そこにはいかんともしがたいやるせなさを感じるが、彼の歌声は決してそれに激しさを剥き出しにするのではなく、魂のつく溜め息が音となって喉から溢れ出て来るかのように、耳にすると胸を搾り取られるほどに哀しいけれども愛おしい。
スミスを彷彿とさせる哀愁のメロディと感情的なギター、そしてどこまでも伸びゆく歌声。それは時に語りかけるようで、泣いているようでも、また笑っているようでもある。ライヴ・パフォーマンスの間、ほとんどMCを挟む事無く淡々と演奏し続ける彼らの、それがコミュニケーションの形なのかもしれない。ディアーズの純粋に音楽で向き合うその姿勢に、オーディエンスは肩を揺らして踊るのではなく、真剣に目と耳で追っているという感じだ。そうすることでここでは皆が望む交流が成り立っていて、急き切るように沸き起こる拍手がそれぞれが楽しんでいることをきちんと伝えている。
"デス・オヴ・ライフ・ウィー・ウァント・トゥ"のように緊張感の高い曲も、"ヘイト・ゼン・ラヴ"、の穏やかな音色も、また、哀しいまでに美しく、どこまでも流れ落ちていく様な"ホワイト・オンリー・パーティ"、"バンドワゴンニーア"と色々な表情を持つ楽曲が6人の手から解き放たれ、聴く者にたっぷりと音楽の崇高な喜びをもたらしている。この日会場を占める観客には20代後半以降のカップルや、男性のグループが目立ち、ただ、ひたすらに音楽に耳と目を傾ける事の素晴らしいひとときを久しぶりに味わえた一夜だった。
-- setlist --
Sinthtro / Ticket To Immortality / Bandwagoneers / Whites Only Party / Death Or Life We Want You / Lost In The Plot / The Second Part / Don't Lose The Faith / Die / We Can Have It / Hate Then Love / 22: The Death Of All The Romance / Fear Made The World Go Round / You And I Are A Gang Of Losers / The Goes My Outfit / Mountains[encore]Postcard From Purgatory / Deep |
report and photos by kaori
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