ザ・クークス @シェファーズ・ブッシュ・エンパイア、ロンドン (19th Oct. '06)
次期王者、決定
渋いブルーズのSEが流れる中、ステージへゆっくりと現われた若き雄姿達、ザ・クークス。アルバムと同じく、ヴォーカリスト、ルークのアコースティック・ギターによる"シーサイド"が始まる。まろやかなのに渋みも伴う何とも特徴的な声に弦の調べが優しく絡まり、序盤にも関わらず会場内はほうっと聴き惚れている。しかし続くナンバーは彼らの若さとふてぶてしさが全面に出た、軽快でリズミカルな曲となり、フロアもシート席も全員総立ち。アルバムを聴けば分かるように、収録曲どれを取ってもシングル・カットに値するキャッチーなサウンドに共鳴し得る普遍的な歌詞。けれども、決して使い捨てソングに終わる事無く、その一曲一曲にバンドの主張と色がはっきりと反映されていて、肝心のメロディがしっかり心に残る。
王道のギター・リフに人々の興奮を煽ったかと思えば、サンタナばりのフュージョン色ちりばめた悩ましい音色も響かせ、ギター・サウンドが機微に富んでいる。演奏もCD音源に違わずほぼ完璧で、もちろんアレンジや即興といったライヴでこその醍醐味にはまだ追いつかないまでも、これほど聴く者の期待を裏切らない演奏力はザ・ズートンズやベル・アンド・セバスチャン級の素晴らしさだ。
概ね全曲で起こった観客の大合唱。手拍子や、ダンス、それぞれの楽しみ方でザ・クークスの音楽を堪能し、演奏が終わる毎に送られる盛大な拍手。軽やかにステップを踏み、伸びの良い声で気持ち良さそうにオーディエンスへ向かって歌うルークからも、淡々と、しかし確実に演奏する他のメンバーの風格からはもはや20歳のお兄ちゃんとは思えない威風堂々としたものが放たれている。胆の据わったブライトンの4人の男達は不気味な程に来る所まで来た感あり。王冠はすでに彼らの頭上に輝いている。
-- setlist --
easide/See The World/Match Box/Eddie's Gun//Ooh La/Time Awaits/She Moves In Her Own Way/Luby You/Pull Me In/I Want You Back/If Only/Naive/Sofa Song/[encore]/Pull Me In/Jackie Big Tits/You Don't Love Me |
report by kaori, photos by akemixxx
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mag files : The Kooks
次期王者、決定 (06/10/19 @ Shepherds Bush Empire, London) : review by kaori
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