ザ・クーパー・テンプル・クロース @ココ、ロンドン (18th Oct. '06)
打ち込んで、ぶちかませ
ココのフロアを埋める観客からクーパー・コールが起き始めた。今やダーティ・ プリティ・シングスの一員となったディズを除く5人のメンバーが、ベン、ダン、ジョンと何とも音並びの良い順でステージに登場。幕開けはうごめく低音が腹をえぐる様な"プロミシィズ・プロミシィズ"。開始早々だが凄まじく響く、のっしりとした音に不意打ちをくらってしまった。このヘビィなサウンドには前方の人の渦とモッシュ・ピットが当然のように発生する。3本の弦楽器が太く、重たく絡み合い、それらを掻き鳴らす姿はまさにクールの一言。ザ・シャーラタンズとオアシスのリアム・ギャラガーをこねくり回したようなヴォーカリスト、ベンのねちっこい歌声も音の中心をしっかり担い、荒んだ感じが楽曲に上手く溶け合っている。
2作目のアルバムではダンス・ミュージックを意識してか、より電子音を取り入れている彼らだが、極太のグルーヴはそのままに、ライヴの臨場感ならではのダイナミズム溢れる力強い演奏でオーディエンスの熱気をますます加速させている。けれども打ち込みの音だからといって踊るというよりは、全体的にがっしりとしたバンド・サウンドに体がうねるという感じだ。
曲によってベーシストのダンがヴォーカルを取ったり、フロントのメンバーがパートを入れ替えて演奏する器用さにもバンドのこだわり深く、職人気質な音楽への姿勢を見る思いがした。今夜のセットリストには新曲も数曲組まれ、それらを一聴した限りでは、ほぼ完成したというニュー・アルバムは更に打ち込みピコピコサウンドに傾倒したマテリアルになるのでは、という印象を持ったが、5人が生み出す緻密で重厚な核の音は不変だからこそ探求される進化や実験。クーパーのグルーヴで上手く踊れなくたっていい。はやる衝動と焦らす煩悶の音の駆け引きを自在に操る彼らの魂はまだまだ衰えを知らない。
-- Set-list --
romises Promises/Homo Sapiens/New Toys/New Song1/Film Makers//Waiting Game/New Song2/The Same Mistakes/A.I.M/New Song3/New Song4/Damage/Panzer Attack/encore/Who Needs?/Blind Pilots |
report by kaori, photos by akemixxx
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