エレクトリック・ソフト・パレイド @ ウォーター・ラッツ、ロンドン (12th Oct. '06)
メルヘンなのにやかましや
ブライトン出身の男二人兄弟アレックスとトムのデュオ、エレクトリック・ソフト・パレイド。1999年のバンド結成から、2002年にはアルバムをマーキュリー・プライズにノミネイトされるなど、地味ながら清らかなポップとフォークのアプローチを融合させた音作りでこつこつ頑張っている人達である。その後はブリティッシュ・シー・パワーのメンバーであったエーモン、マークとタッグを組みブレイクスという新たなバンドも平行して結成し、今やそちらでの活躍が目立つ感があるけれども、一年に少ない日程を組んでこうして時々原点である自分達のバンドとしてステージに上がっている。
サポート・メンバーのマシューとマスという似た様なややこしい名の二人を連ねてパブに併設されたここウォター・ラッツのステージに上がった彼ら。数少ないギグを待ち詫びていたであろうファンに気さくに話しかける弟のクマ顔トム、それを笑って聴きながらキーボードの調整を黙々としている兄のアレックス。皆いたってリラックスしている。序盤はインストルメンタルでややサイケデリックなキーボードが全面に出た"ザ・フライデイ・ビフォア・クリスマス"で開けられる。"ア・ビーティング・ラヴ"や、"コールドワールド"での、ノイズ炸裂なギターとステージを叩き壊す程の爆音にソニック・ユースの内省的な凶暴性を感じた。"シークレッツ"など、アレックスがヴォーカルを担当したり、トムが歌う曲もあったりと自在な彼らの演奏振りだが、基本は同じ柔らかみのある声でも、兄のそれには若干渋みが加わっている。なので、中盤の演奏が重く、グルーヴが渦を巻いているような曲にはやはりアレックスの声の方が映えている。ただ、メロディが優しく、メルヘンチックな響きを持っているちょっと掴み所のない曲もあるので、それには丸みを帯びたトムの声が良い。
最前列にいた友達にキーボードを担当させ、お祭り騒ぎの様に、観ている者も演奏している者も一緒になって歌って踊り騒いだアンコールの"エンプティ・アット・ジ・エンド"。そんな曲名とは裏腹に、今夜の轟音メルヘンバンドの奏でたアット・ホームな雰囲気の会場は喜びの笑顔で満ち足りた夜を締めくくったようだ。

-- Set-list --
The Friday Before Christmas / Things I Have Done Before / Biting Soles Of My Feet / A Beating Love / Cold World / Secrets / Lose Yrfrown / Misunderstanding / Silent To The Dark / If That's The Case Then I Don't Know / So Much Love / Everybody Wants / Red Balloon 4 Me / Empty At The End |
report by kaori, photos by akemixxx
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