button ロン・セクスミス @ 渋谷デュオ (5th Oct '06)

ヴィンテージボイスとグッドメロディを再確認


Ron Sexsmith
 DUOというところはステージが低く横に広いフロア、しかもフロア中央にバカでかい柱が2本ある……なので、ちょっと場所取りは慎重に行いたいところ……と思いつつ会場に着くと、何とイス席が準備されている!そんなに観客の年齢層も高くないのに、イスはどうなの?と思ったけど、ゆったり聴けてそれはそれでよかったのかしら?イス席は約150、立ち人は100人くらいはいただろうか、ちょうどピッタリ収まってしまったところを見ると、予想入場者数を逆算しての演出だったか(ちょっと悲しい……)。ちなみに開演前のBGMはずっとエイミー・マンが流れていたりもして、「エイミー・マンとロンって音的にも立場的にも似た感じだよね、どっちも好きな人ってこの会場に沢山いるだろうね。まぁ僕もだけど」と一人で感慨にふけりつつロン様の登場です。

Ron Sexsmith  今回のバンドメンバーは3人、ドラムス、ベース、ギター。何故かギターとドラムのふたりはスキンヘッドの大男で、見た目だけでいえばロンの音楽のイメージに合わない気もしたけれど、プレイっぷりは実にソフト。特にドラマーはまるでピクシーズのブラック・フランシスを思わせるようなイカツい風貌だったけど、ブラシやリムショットを多用、ハイハットの微妙なニュアンスを大事にしたりと、ロンの歌声を丁寧にアシスト。ギターも途中"ミニ12弦ギター"とでもいうような珍しいシェイプのギター(まるでマンドリンのよう)を使ったり、アルペジオ風な印象的なフレーズやリフなんかは、古き良きギターロック(例えば60年代のザ・バーズのような)を彷彿させていて、コーラスも含めて、バンドはロンの音楽をシンプルに体現していたと思う。

 そしてロンさん、実物を目の当たりにすると意外と巨漢なこの男が奏でる歌声は、どこまでいっても不変の、そして普遍のメロディを、最後まで歌い続けていた。

Ron Sexsmith ロンはアコギを持って歌に専念。あまりMCも無く観客の拍手さえもほとんど待たずに、矢継ぎ早に曲を繰り出してゆく。シンプルなバンドサウンドは奇をてらう事もなく、曲によってテンポの早遅もあまりないロンの曲(人によってはこの辺が物足りなさを感じる部分かもしれない)ですがこの人、唯一、圧倒的に光っているのは、やはり、"メロディ"なのだと再確認。

 マイナーコードに移る瞬間のものうげな感じ?。裏声(高音)に移行した時の、苦々しくも清々しい感覚?あぁ!ロンの声自体がすでに実にヴィンテージでウォーミーなサウンドなのですね。そしてその心地よいメロディは、聴いている僕らの口を自然と動かすというか、歌いたい気分にさせてくれる。「歌いたくても歌えない人たちのために、自分は歌を歌っているんだ」1stアルバムの日本語ライナーノーツに書かれてあった彼のデビュー当時の言葉を、ふと思い出して、歌というものの力を、聴かせる歌というよりも、歌を歌うという行為そのものを思わず考えさせられる。

Ron Sexsmith  中盤ではバンドメンバーは退場しソロタイム。アコギ1本で歌うロン、ピアノで弾き語るロン。ピアノを弾く彼の姿は自身敬愛すると言っていたニルソンの姿に何となくダブる。レナード・コーエンの影響も常々口にしている彼なのだから、もっとピアノで弾く曲を増やしてもいいんじゃないかな、とちょっとだけ思う。いや、いっその事、10人編成ぐらいで思いっきりウェルメイドで贅沢な、例えば女性コーラスが2人くらいいるような、そんな大所帯でのロン・セクスミスも見たい気にさせられる。帰ったら大好きな"グッド・オールド・デスク"(ニルソン)や"オールモースト・オールウェズ (コーエン)"の彼のカバーバージョン(アルバム「レアリティーズ」に収録)を聞き直そうと思いを巡らす……。

 今回で7度目の来日、1995年のデビューアルバム「Ron Sexsmith」から約8枚のアルバムをリリース(ペースとしては早い方だと思う。Liveでは古い曲も新しい曲も満遍なく演奏しておりました)、40才も越えて、この元郵便局員の男の作曲の源泉は尽きる事は無いのだろうか。派手なニュースもあまりなく地味な存在かもしれませんが、個対個で歌いかけてくるロンの歌は、世の中がどんな時代になっても無くてはならないものなのだ。(とまた再確認!)

 2度目のアンコールに応えた彼は、この後は朝霧JAMに直行。日本に来る前は豪州ツアーを終了したばかりで、日本の後はすぐドイツへ向かうらしい。何となくイン(室内)な人のイメージを持ってしまいがちですけれど、意外とタフな一面があることも、生のステージを観ると感じ取る事ができたのではないでしょうか。また会いましょう!

※余談ですが、終演後の客出しBGMはまたしてもエイミー・マンだけが延々と流れ続けていた。ちょーっと、ちょっとちょっと!頭の中がエイミーになっちゃうよ!後味とか余韻とかが特に大事なアーティストなのだから、(誰の意向か知らないが……同じレコード会社なのが関係?……ロン本人の意向じゃないよね?)……そういうところは気を使って欲しいものです。
Ron Sexsmith
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