ザ・ポーグス @ 渋谷AX (8th Oct '06)
ニューヨークの夢、東京の夢
夢じゃない。シェインが目の前にいる。右手にタバコ、左手になみなみと注いだ酒を持ち、あの嗄れ声で歌っている。そして二度目のアンコールの時、更なる奇蹟は起きた。何度となく聴いたあのピアノ・イントロが演奏された瞬間、これが現実かどうかを思わずもう一度確める。いや、この際もう夢でもいい。ただ、この曲が終わるまで覚めないでくれ……
昨年のことだ。もはや存続さえ絶望的だったはずのあのザ・ポーグスが、90年以来まさかの再来日。なのに、東京のライヴは諸事情で、そしてフジロック・フェスティバルでも裏ステージの仕事が長引き、とうとう観ることが叶わなかった。結局オレはこのバンドとは縁がないのか……そう思って半ば諦めていたら、ロックの神か酒の神か、とにかく天が今年もう一度機会をくれた。下手をすればラストチャンスにもなりかねない2006年東京公演は例によって大雨。かまわない。"レイニーナイト・イン・ソーホー"を持ち出すまでもなく、このバンドにどしゃ降りはお似合いだ。
世の中には曲をまったく知らずともライヴを楽しめるバンドも確かにあるが、ことポーグスに関する限りは、できるだけ音源を深く聴きこんでおいたほうがいい。絶対にその方が楽しめる。シェインの書く曲を聴いていると、いつもその中には哀しくも美しい物語が浮き彫りになる。移民や酔っ払いのささやかな日常、船乗りの悲劇、かつて栄盛を誇った町の衰退、そして男と女のきらびやかな夢と厳しい現実。曲の持つ世界観にどっぷり「入って」ステージを観ていると、そこにぼんやりと登場人物のイメージが浮かび上がってくる。
新譜を出していないから予想されていたことではあったが、今年のセットリストも昨年とほぼ同様のものだった(らしい)。つまりはスーパー・ベスト的な内容だったわけだ。矢継ぎ早の名曲オンパレードで、アンコールでは"サリー・マクレナン""アイリッシュ・ローバー""夏の日のシャム"を立て続けに演った。二度目のアンコールもどうやらありそうだと勘付いた時は、それでも、これで"フィエスタ"を一曲演って終わりだろうと思っていた。
ところが、ステージにメンバーが戻ってきた時に、一緒に女性ゲスト・ボーカルが登場!それが何を意味するのか、ここに集まった連中がわからないわけがない。会場は当然のごとく驚喜の歓声に埋め尽くされる。はたして演奏されたのは"ニューヨークの夢(Fairytale of New York)"!! カースティ・マッコールの死以来まず演らなくなったと噂され、事実去年の来日でも一度も演奏されなかったこの超名曲が、封印を解き放れたかのように本年度公演で披露されたのだ。
後でSMASHのスタッフに訊いて見たところ、彼女はバンジョーのジェム・フィナーの娘でエラ・フィナーとのこと。歌パートが終わり、アウトロの部分でシェインとエラが二人で手を取り合うと、ステージ中央で踊り始めた。いや、踊りというよりヨタヨタ歩くだけに近い、ひどく不器用でたどたどしいステップ。だけどそれを観て、正直、泣いた。そのどうしようもない姿の二人には、儚く美しく、そして哀し過ぎるシェインの歌の世界観が集約されていたからだ。ステージ上には雪が降らされる演出。この曲を演るために、今年ポーグスはもう一度来てくれたのではないか。忘れ物をわざわざ届けにきてくれたのではないか。そんな気さえした。
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report by joe and photos by maki |
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2006
The Pogues : (8th Oct @ Shibuya AX)
Rico Rodriguez with Cool Wise Men : (6th May @ Shibuya Eggman)
Go Jimmy Go : (6th Apr @ Shibuya Lush)
2005
The Pogues : (26th Jul @ Shibuya AX)
Ozomatli : (17th Mar @ Shibuya Club Quattro)
The Dirty Dozen Brass Band, The Benevento/Russo Duo : (28th Feb @ Shibuya Club Quattro)
2004
The Busters with Betagarri, Rollings, and Doberman : (23rd Nov. @ Tokyo Kinema Club)
Los Rancheros : (12th Nov. @ Ebisu Liquidroom)
Dropkick Murphys, Brain Failure, Clovers : (11th Nov. @ Ebisu Liquidroom)
Rufio, Pulley, Don't Look Down, Last Years Hero : (10th Nov. @ Shibuya Club Quattro)
Southern Hurricane : (18th Oct Shimokitazawa Shelter)
Give A Rat to the Cats feat. Sorrow, Triol : (2nd July Shibuya Chelsea Hotel)
Fall Out Boy : (28th June @ Shibuya Club Quattro)
The Captains : (17th May @ Shimokitazawa QUE)
Muratrix : (7th May @ Ikebukuro MANHOLE)
Ken Yokoyama : (28th Apr @ Shibuya Club Quattro)
Flogging Molly : (5th Apr @ Shibuya O-West)
Mest and Gob : (19th Jan @ AX Quattro)
2003
D4 : (7th Dec @ Shibuya Club Quattro)
Less Than Jake : (27th Oct @ Shibuya AX)
Cubismo Grafico Five with Doping Panda : (4th Sept @ Shibuya Club Quattro)
Longwave : (3rd Sept @ Shinjuku Liquid Room)
The Used : (1st Sept @ Shinjuku Liquid Room)
The Vandals with Useless ID , & Belvedele : (16th Aug @ Shibuya Club Quattro)
Tribute to Rocket from the Crypt featuring The Fry Wheel , Jet Boys / Retro Gretion / Kemuri & John Speedo : (21st Jun @ Shibuya Club Quattro)
The Ataris : (3rd Jun @ Shibuya Club Quattro)
Simple Plan with Gob : (26th Apr @ Akasaka Blitz)
The Coral : (20th Apr @ Shinjuku Liquid Room)
String Cheese Incident : (10th Apr. @ Nagoya Quattro)
Asian Dub Foundation : (2nd Apr @ Akasaka Blitz)
eastern youth : (20th Mar. @ Shibuya Club Quattro)
Set You Free Vol.77〜VS.シリーズ'03 #2 featuring LINK : (27th Feb. @ Shibuya Club Quattro)
The Parkinsons : (20th Feb. @ Kyoto Takutaku)
Hundred Reason : (19th Jan. @ Shibuya Club Quattro)
2002
What's Love? : (9th Dec. @ Shinjuku Loft)
The Suicide Machines with 10-feet & Potshot : (18th Nov. @ Shibuya Club Quattro)
Husking Bee : (13th Nov. @ Shibuya AX)
Paparoach : (2nd Oct. @ Akasaka Blitz)
U.S. Bombs : (3rd Sept. @ Shimokitazawa 251)
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