アストロB @ 渋谷屋根裏 (30th Sep '06)
ザッツ・エンターテイメント
まず、強烈なドラムと電子音と共に柔道マンと忍者ボーイが空手の型のように踊る。忍者ボーイの手から炎が出てくる。そして一人でシドとナンシーを同時にやっているようなキヨミカークラッシュが飛び込んできて、まずは激しさとキュートさがある"Space Cat"へ。柔道マンと忍者ボーイは、猫の仕草をしてじゃれあったりしてコミカルに見せる一方で、サビではギターノイズが炸裂する。続いて、パイプオルガンの音が響いて、ドラムのジーザス・ホリエサンがドラムセットの椅子の上に立ち上がり、腕を広げて十字架に架けられたキリストのパロディをおこない、ジーザスクライストスーパースターが流れ、ドラムスティックをクルクル回すのだけど、落としてしまったのは、ご愛嬌。
"Future Rock"はKLFかプロディジーかというデジタルなロックが迫力ある。いつの頃からか、この曲ではステージの上でも、ステージ前のお客さんたちも右へ左へ一斉に反復運動する。さらにスクリーンにはアニメの『あしたのジョー』で丈が倒される場面や丹下段平の顔が映し出される。セックス・ピストルズから引用した「NO FUTURE」というサビに合わせて「あした」の「ジョー」が倒される……ってわざわざ解説しなくても分かりますよね。そして圧巻だったのは、プロフェッサー・サムによるキーボードソロ。逆立ちから忍者ボーイの背中にイナバウアー状態でもたれかかり、ショルダーキーボードを弾くのだ。
そんな興奮が終わると妙にテンションが低い柔道マンのMCでメンバー紹介と告知がおこなわれる。そしてカリスマ坊主・ラマ様が登場し、ジーザス・ホリエサン、プロフェッサー・サムの3人で"恋の般若心経"。柔道マンによると、ザ・キャプテンズと対バンするとき用に書かれたというGS風に「般若〜般若〜波羅蜜多〜」と歌うナンバーである。スクリーンにはGSのレコードジャケットが映し出され、ギターを手にした3人が振りつきで踊るのが面白いし、謎の女・MAYU不二子という長身で美人のダンサーが現れ、ラマ様と絡み合う。そしてメンバー全員で"タイムスリップ岡本太郎"へ。オープニングは、ダ・ヴィンチの『最後の晩餐』からポールマッカートニー『バンド・オン・ザ・ラン』のジャケット、そしてマッドネスのホンダのCMのパロディへという一連のシーケンスが素晴らしい。そして、歌は70年の大阪万博で頂点を迎える高度成長自体へのオマージュになっている。寺山修司とか赤塚不二夫など連想させるフレーズが出て くる。この日はたくさんの固有名詞にまぎれて「あいざき進也」と聞こえたが、空耳か? ところでこの夏、岡本太郎美術館へ行って、あまりの太郎ワールドの濃さにヤラれてしまった自分としては、日本の60〜70年代を思わせる単語の中から立ち上がってくる「どんなものにも顔がある。グラスに顔があってもいいじゃないか」などの岡本太郎の言葉のインパクトは強烈なものであった。
タテノリでフロアを盛り上げる"Welcome to the ASTRO-B"を経て、"SAMURAI TRANCE"、そして締めは"YOGA DISCO"とハードなアゲナンバー3連発だった。ノイジーなギターとパンキッシュなキヨミのヴォーカル、ジーザス・ホリエサンのドラム、プロフェッサー・サムのキーボードがプログラミングされた音と渾然一体となって迫力を作り出し、謎の女は踊るわ、忍者ボーイは炎を出すわ、スクリーンには曲とリンクした映像が映し出され、耳も目にも面白い総合エンターテイメントを作り出しているのだ。そして、ラマ様の歌う"般若ボッサ"をBGMに撤収作業をしている姿を見ると、ヘラヘラとした笑いが止まらなかったのだった。
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report by nob and photos by keco
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mag files : Astro B
ザッツ・エンターテイメント : (06/09/30 @ Shibuya Yaneura) : review by nob, photos by keco
photo report : (06/09/30 @ Shibuya Yaneura) : photos by keco
photo report : (05/10/09 @ Yotsuya Live Gate) : photos by keco
デジタルな昭和 : (05/09/25 @ Higashi Kouenji UFO Club) : review by nob, photos by keco
photo report : (05/09/25 @ Higashi Kouenji UFO Club) : photos by keco
サイバー・お笑い・バトル : (05/05/06 @ Yotsuya Live Gate) : review by nob
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