ディレイズ @ ザ・フェズ、レディング (21st Sep. '06)
王子から体育会系へ
今回はロンドンから北へ約1時間、レディングにある300人程度収容のクラブへディレイズの秋、ショート・ツアーを観にやって来た。アルバム発売後の決して長いとは言えなかったユー・シー・カラーズ・ツアーを経て、夏にはVやマンチェスターなどの郊外型フェスティヴァルでちょこちょこプレイしていた彼らだが、前回のツアーで訪れる事の出来なかった地方を中心に組み込まれた日程とのこと。それゆえ満員御礼だった3月のロンドンは今回は見送られたというわけである。
オペラティックな歌声と、力強さの中にもメロディの良さがしっかり生きたロンドン・ベースの4人組、アパートメントとDJセットに続き、ディレイズの面々がステージに現われる。小柄で華奢なフロントマン、グレッグとベーシストのコリンはジャージのジッパーを首までぴちっと締め、全く力の入っていない軽装。バンド内でムード・メーカーの役割を担うキーボーディストのアーロンから"ロング・タイム・カミング"のイントロが奏でられ、ディレイズの人気ナンバーからのいきなりの幕開け。序盤はマイクロフォンの調子が悪く、グレッグの声が割れて聴こえづらく、自慢のハーモニーも今ひとつ調子が合わなかったが、"ヘイ・ガール"の頃にはもう絶妙としかいいようがないその美しい声の層が会場に響き渡る。
デビュー・アルバムに一環して漂っている幻想的で夢見るような世界観も、彼らのライヴ・パフォーマンスでは、均整の取れたリズム隊に、グレッグの"男"としてのガラガラ声と中性的で完璧なファルセットが自由自在にバンドの音全体を統治し、良い意味でラフで、臨場感のある逞しい音を出してくるバンドだと感じた。演奏に熱が入っているのがありありと伝わってくるし、生ならではの荒削りな格好良さもライヴだからこそ体験できる彼らの別の魅力だ。次のアルバムに収録するであろうという新曲と、ジョン・レノンのカヴァー、"ピース"を含め全15曲。若者、中年入り交じった広い客層が、手拍子、合唱、思い思いのダンスに身を委ね、キラキラ星を脱却した男ディレイズの圧巻のショウに大いに盛り上がった地方の夜であった。
-- Set-list --
Long Time Coming/Sink Like A Stone/Lillian/This Town's Religion/Out Of Nowhere/Hey Girl/Wanderlust/Nearer Than Heaven/G.O.F/Hideaway/Waste Of Space/Lost In A Melody/Valentine/encore/Peace/You And Me |
report by kaori and photos by akemixxx
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