アサイラム・ストリート・スパンカーズ @ 渋谷クラブクアトロ (17th Sept '06)
酒があって、笑顔があって
良い音楽を肴に酒を飲むのは最高に気持ち良いが、酒を飲んで良い気持ちになっている人間が奏でる音楽もまた良いものだ。そこには笑顔があり、それを見る者にも笑顔が生まれる。酒があって、笑顔があって、そこに音楽があれば、良いライブが生まれるのは必然なのかもしれない。
中山うりによって程良く温められた会場だったが、この日の主役はやはりスパンカーズ。セットチェンジの間に多くの人がフロアへと流れていく。客層は幅広く、老若男女問わずといった感じか。ステージ前へは若い人が、後方には年輩の方が集まっていたように思えた。スパンカーズのメンバーがステージに登場すると、ドッと歓声が沸く。前回の来日は3年前。3年間分の思いが歓声となって吐き出されたかのようだった。
フロアに集まった客にもだいぶ酒が入っていたようだったが、ステージ上のメンバーも負けていない。登場時からすでに缶ビール片手にごきげんになっている。中山うりがMCで、『本番前、「ビールはどこだ?」なんて言いながら、酔っぱらったアサイラム・ストリート・スパンカーズのメンバーが楽屋にやってきた』と話していたが、それはワモのことじゃないだろうか。それぐらいワモは演奏している間も飲み続けていた。ネヴァダが歌っている最中も真後ろでベースのシェーンと乾杯していたほどだ。そんなワモだが、いざ演奏になるとシャキッとした音を聴かせてくれるのだから不思議でしょうがない。"ワモズ ブルーズ"のハーモニカや、曲名が分からなかったのだが、彼の歌うカントリーは、聴いていると涙が自然とこぼれそうになる程グッとさせられる。
先週のハイドパーク・ミュージック・フェスティヴァルよりも、より熱のこもったライブが展開されたと思うのだが、この日のライブを振り返ると、頭に浮かぶのはほとんど笑わされた時のことばかりだ。ワモやシックは、どこで覚えたのだろうというような日本語を巧みに使う。"ヒック・ホップ"では2人のラップの掛け合いが良い感じにはまったと思えば、突然「トイレ ハ ドコデスカ?」なんて言い出すし、曲のカウントにしても、「One、Two、イチ、ニッ、サン、シッ」などという取り方をする。クリスティーナの「カモン! ボーイズ!」というかけ声と共にメンバーがコーラスを始めたときや、シックが「鬼ハ外!福ハ内!」というかけ声と共に曲を始めたときも大笑いしてしまった。とはいえ、彼らが日本に来るにあたって、日本人を笑わせるために色々勉強してきてくれた背景を考えると、少し嬉しくなってしまう。
また、この日はShaneが誕生日だったようで、ステージにはケーキが持ち込まれ、ハッピー・バースデーが大合唱で歌われるという一面もあった。そんなアットホームな空間で飲んで、笑って、踊って…。幸せな時間が流れていたなぁとしみじみ思う。楽しい時間が過ぎるのはあっという間で、2度のアンコールに応えると、"ディガ・でぃが・ドゥー"を最後に彼らはステージから去っていった。
良いライブに酒と笑顔は欠かせない。勝手にではあるが、そんなメッセージが彼らから伝わってきた気がする。18日の横浜をもって日本ツアーを終えたスパンカーズ。次の来日はいつになるのだろう。再び来日する際は、今日以上に笑顔で彼らを迎えたいと思う。笑顔に溢れたライブって良いもんだ。改めて、深くそう思った。
最後にファンの方々に1つ朗報がある。ツアーを終えたスパンカーズだが、ワモだけ(?)はあと1週間ほど日本に滞在するとのこと。24日、鎌倉カフェ・ゴーティーにてライにてライブがあるそうなので、興味のある方はぜひこちらもチェックしてみてほしい。
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report by funabashi and photos by hanasan
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