ミステリー・ジェッツ @ ホップ、ロンドン(4th Sep. '06)
放課後の戯れ
インストア・ライヴといえばお馴染みHMVやヴァージン・メガストアでよく催されるが、ここロンドンにはホップという小型の英国レコード・チェーン店が、街の中心地であるトッテナム・コート・ロードに新規出店し、大手に負けじと地下のスペースで新作をリリースしたバンドやミュージシャン達の無料ライヴを行っている
本日登場するのはミステリー・ジェッツ。夏のフジ・ロックで彼らの素晴らしいパフォーマンスを楽しんだ方も多いのではないだろうか。英国にて今日発売されたシングル"ダイアモンド・イン・ザ・ダーク"を記念して、ライヴとサイン会を兼ねたこのイヴェント。彼らを観ようと詰めかけたファンは圧倒的に10代半ばのキッズが多い。まるで学校の放課後、教室に居残って先生や友達と円を囲んで歌でも歌っているかのような親密さである。観客に座って聴いて欲しいと促したヴォーカルのブレーンはマイクを通さずに、牧歌的で温かい中音域の声を響かせ、その隣の父ヘンリーはポンポンとカウベルを叩いたりハーモニーに加わったり。ウィルとカイがアンプリファイアに繋いだギターとベースを用いたものの、ドラマーのカピルはボックスを叩き、足首にじゃらじゃらベルを付けて打ち鳴らすその足からリズムを作り、そんな限られたアンサンブルの中だからこそ、実は非常に素朴でシンプルなジェッツのメロディがより際立って聴こえてくる。特に一緒に歌えと言われなくても共にこの場所を共有している人ならば誰でも、彼らと共にこの素敵なメロディを口ずさみたくなってしまうだろう。
限りなくポップでありながらも、捻りがあり、突き詰めた音楽マニアの如し楽曲の不可思議で愉快な魅力。彼らが形容されているアート・ロックとやらは、ミステリー・ジェッツという単に他の何者にも比類しないオリジナリティを何とかして分類したい側の苦し紛れの賛辞に過ぎず、何でもいいからとにかく音楽に夢中で楽しくて仕方が無い、という彼らの吟遊の世界はやっぱり肉眼で観てなんぼだ。
-- Set-list --
The Boy Who Ran Away/You Can't Fool Me Denis/Soluble In The Air/A Happy Birthday Song(For A Fan)/Scarecrows In The Rain/Drowin' Not Wavin'/Diamond In The Dark |
report by kaori, photos by akemixxx
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