ジ・エイリアンズ @ ナイト&デイ、マンチェスター(25th August '06)
再び輝きを
The Green Man Festivalに行くことを決めた後、The Aliensが8/25にマンチェスターでのライヴ日程を追加し、もじもじしなながら滞在を伸ばそうかどうしようかと考えていると「深夜にマンチェスターを出発するロンドン行きのコーチに乗れば27日中に日本に帰国 できるよ」という悪魔の囁きにも似たアドバイスをもらい、即決。今回の渡英最後をThe Aliensのライヴで締めるという言うことナシの計画となった。ただし、マンチェスターを出発するコーチの時間 は23:59、コーチステーションまでの時間を考えると23:30がタイムリミットだ。この日のイベントは20:00オープンとなり2つのサポ ートバンドが出演した後、The Aliensが23:00〜演奏する予定で、下手をすると1曲も観られないままマンチェスターを後にする図が待っていた。結局、サポートバンドの時間が押したり、セッティングに時間がかかり、The Aliensがステージに登場したのは23:15で"Setting Sun"と"Only Wating"の2曲だけしか観ることができなか った。でも、不満はない。
The AliensはThe Beta Band解散後、John McLeanとRobin Jonesに加え、The Beta Band初期コアメンバーであったGordon Andersonに よって始められたバンドだ。この日はXfm 主催の新しいバンドを集めて開催されるX-PosureというイベントでサポートバンドとしてI Like Trains, Born Ruffian、XFMのDJであるJohn Kennedyもバンドの紹介をしにステージに姿を見せていた。雨も降り出しグッと冷え込んできた外とは違って、蒸し風呂のような屋内は新しい物好きのアンテナを反応させた地元の女の子達が前を陣取り、お手並み拝見とばかりに片手にビールを手にした若者でいっぱいだ。その中にはThe Beta Band歴の長そうな男性の姿が多いのにはビックリした。隣にいた地元の女の子が「The Aliensって日本でも人気があるの?」と英国の一地方に来てまでライヴを観る私に聞いてきた。いやいや……、笑。
The Green Man Festivalとは違って、狭くて暗い場所でのライヴ でバーながらに照明もあり音もなかなかいい。赤い壁に囲まれたこのスペースには多くて100人強ほどが入る入らないかくらいの大きさだ。サポートバンドがそれぞれ演奏を終えると、足早にセッティングを終え た後一旦ステージを降ると、John KennedyがThe Aliensを迎えた。律儀にもステージ衣装に着替えているのだが、これが非常にダサい。私がいくらThe Aliens狂であることを差し引いてみても、その80年代に置き去りにされたスケボー少年のようなチープなエイリアン達は爆笑する他に方法がない。これが確信犯なのだから完全にしてやられたりなのである。
Gordon Andersonのエンジンがかかるのがライヴ中盤であることからたった2曲だけではキレも悪い。でも、Gordonの一挙手一投足に合わせてリズムの入りをJohnとRobinが目配せで合わせたり、予測不能なGordonがちょっかいを出すのにいっしょにじゃれ合ったりと、30半ばのいい大人の男3人が、ただの中学生のように見えてならなかった。解散間際のThe Beta Bandにはいつしか"Inner Meet Me"のPVの頃のようなただただ自分がやりたいことをやって、自分達が一番楽しんでいるという部分が完全に失われていたのだけれど、目の前にいるThe Aliensには、悪いが自分達が一番楽しくてしょうがないという空気で満ち溢れていた。その光景を目の当たりにし、肌で感じることができ本 当に幸せだった。音の一つ一つを幾重にも構築していって音の整理された"Alienoid Starmonica Ep"とは違ったライヴのざらざら感がとても心地がよかった。全然完成領域にはなくてラフでクレイジーでサイケだけど、間違いなく最高にロックンロールしていた。
9/18にはニュー・シングルとなる"Happy Song"がリリースされ、現在レコーディング中のアルバムも来年早々にリリースされるということだ。再び輝きを取り戻したThe Aliensの大人気ない3人がこれからも自分達が一番笑っていられるバンドであってほしい。そういう姿を見られるのなら、日本にはまたいつか行けたらいいなぁ……なんて言葉を待たずに再び私がThe Aliensのいる場所に向かうに違いない。
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report by kuniko and photos by izumikuma
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再び輝きを: (06/08/25 @ Night and Day, Manchester) : review by kuniko, photos by izumikuma
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