ジ・オートマティック @ ULU、ロンドン(24th Jul. '06)
フジ・ロック前哨戦 其の七 ジ・オートマティックの巻
地下鉄ラッセル・スクエア駅から北へ向かって歩くこと約5分。ロンドン大学構内にある、スチューデント・ユニオンによって運営されているULU。観客収容数800人程度の親密なヴェニューは、入り口から階段で上がると見えてくる内装の暗幕に、学園祭を思い起こさせる素朴さが感じられるが、中央に位置するステージはカムデンのエレクトリック・ボールルームに似たれっきとした造りである。
本日のサポート・アクト一組目はウェールズ南部はスウォンジー出身の4人組、ヴィヴァ・マシーン。ザ・キラーズのブランドン・フラワーズの声をオクターブ高くして、より鼻にかけた様なヴォーカルと、スパイキーなロック・サウンド。激しいギター・リフに絡む動きの良いベースだったが、途中で入るじゃらじゃらしたシンセサイザーと、甘めな歌声が浮きがち。もっと声量があったらば、いっそ耽美派のハード・ロックを目指したら良さそうなメロディだ。続いてイングランド南東部サウスエンドから、歌って回るゲット・ケイプ・ウェア・ケイプ・フライ。何とも早口言葉みたいな名前であるが、バック・バンドを従えるサム・ダックワースというソロのシンガー・ソングライターである。山下清ばりの膝丈ズボンにネクタイという、あまり芳しく無いいで立ちながらも、ややハスキーで、温かみある声にアコースティック・ギターとマックでプログラミングしたエレクトロニカ・サウンドを乗せて現代的な音楽を奏でている。始終裸足でくるくる回りながら歌い、風車のような変声機を使って声にエフェクトを掛けてみたり、単なるフォーク・シンガーとは呼べない実験性を打ち出している人だ。
はいはい、もう前後左右がどんどん蒸し蒸しと湯気が立っておりますところでやっと現われましたは、ジ・オートマティック。会場を埋め尽くすオーディエンスのほとんどが10代後半の若人である。同じティーンである彼らの音楽、詩はより身近に共感を呼ぶのか、ステージに立つ4人のメンバーに対する声援は男子も女子も元気いっぱいだ。デビュー・アルバムから"キープ・ユア・アイズ・ピールト"で幕は開き、その若さ特有のエナジーが弾け出し、観客側でも興奮、鬱憤入り交じったステージ・ダイヴが起こり出す。ロブの逞しい体から放たれる渋く、野太い声は序盤から良く出ており、怒号のバンド・サウンドにもはっきりと聴こえてくる。それに合わせて皆熱い合唱で、4曲目の"ラウール"になるとお馴染み変わり種キーボーディスト、ペニーがカウベル片手にステージの端から端まで弓反りになってカンカン鳴らし、手近なマイクからアクセル・ローズも顔負けな甲高い奇声を上げている。目をひんむき、身をよじらす奇怪な彼も、さすがに自分の持ち場に戻って来た時だけはキーボードの操作に没入し、至って真剣な顔つき。その変わりぶりが実に面白い。ドラマーのイワンやギタリストのフロストも力強いプレイをしており、決しておとなしいわけではないのだが、何分ペニーが一人逸脱しきっているので、火でも吹かない限り観客の視線は彼からは逸れまい。
今夜のパフォーマンスで驚いたことに、アンコールの1曲目にそのはぐれ雲、ペニーがラップを披露したのだ。その曲というのがカニエ・ウエストのオリジナルをカバーした"ゴールドディガー"。ブラック・ミュージックの独特なグルーヴに、ロブがフルートの美しい調べを乗せ、乱れ狂うコーラス時はどこへやら、熱唱、いや熱い語り部、ペニーに観客も最高潮に盛り上がる。「あの丘から来るのは一体なんだ、モンスターなのか」と、ちびっ子TV番組向けの様な単純な歌詞に、誰もが口ずさめる癖になるメロディはフェスティバルで盛り上がるには取っ付きやすいし最高だろう。恐るべきウェルシュ・ボーイズの日本上陸、迫る。
-- Set-list --
Keep Your Eyes Peeled / On The Campaign Trail / Seriously I Hate You Guys / Raoul / Team Drama / Jack Daniels / That's What She Said / Lost At Home / You Shout You Shout You Shout You Shout / Rats / By My Side / Monster
-- encore --
Golddigger / Recover
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photos and report by kaori
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