ザ・ピペッツ@ HMV、ロンドン(17th Jul. '06)
ガールズ・ポップに物申す!
うわっ!もう見てくれからしてすでに企画もの臭さぷんぷん。だって、揃いも揃って水玉模様のドレスにカチューシャを衣装にしているし、メンバーの一部だというのに恐らく誰も気にも止めぬであろう影の薄いバック・バンド。英国南部のブライトンで2005年にローズ、ベッキィという3人の女の子と、演奏担当であるバンドのザ・カセッツが出会って結成され、後にグウェノが加わり最終的に現在のメンバーとなったたのがこのコンセプト・バンド、ザ・ピペッツである。何やらザ・ビートルズが全てをぶち壊しにした時代を遡って、シャングリラズ、バナナラマ、ザ・クリスタルズなど、60年代を華やかに彩ったポップスに回帰しよう!という、大胆不敵なテーマを基に、分かりやすくシンプルでポップなメロディを表現していきたいとの思いがあるようだ。今回はセルフ・タイトルとなったデビュー・アルバムの発売記念として行われた、おなじみHMVでのインストア・ライヴをご紹介。
まぁ、イメージ作りとしてお揃いの格好はしていてもルックスは三者三様で、ガーリィなローズ、ハリウッドにでも行った方がよっぽどいいんじゃないのかねってぐらい美人なグウェノ、ペコちゃんみたいな黒ぶち眼鏡が可愛いベッキィ。じゃあ、彼女達が前出のバック・バンドを従えてどのような歌を歌っているのかといえば、ドゥー・ワップ混じりのコーラスに清々しいハーモニーで、男の子、女の子の恋物語を明るく、楽しくと至って健全。中には一夜限りの恋について歌っている例外もあるが、それらも含め普通の女の子が共感しそうな歌詞に、アイドル並みに気合いが入った完璧なビジュアル・コンセプト。極めつけに親しみやすい曲調とくれば、会場にいた男女の比率が半々だったことも納得。つまり、性別に関係なく好かれる要素が多大にあるということだ。
ちなみに、歌と同時に展開される振り付けがきちんと決まっており、それも発売されているCDに解説付きで載っているというではないか。何だか急に一昔前に日本で流行ったパラパラなる間抜けなインベーダーのような踊りを思い出してしまったが、あんなものとは全然違うからご安心を。彼女達の動きに合わせて、手を差し伸べたり、くねくね捻ったりし、気分はいつしかキャンディーズ。
残念ながら、ここぞという「音」のコンセプトに乏しく、ピペッツだけが持つサウンドを今後生み出すことができるかどうかが、活動の鍵になるのではという気はする。派手なイメージだけなら惹き付けるのが早い分、飽きられるのもあっという間だからだ。ただ、こういうインディーの雰囲気を持ったポップ・グループが商業路線に加われば、チャートの世界はずっと面白くなるのではないだろうか。とりあえずお色気むんむんよりは水玉ガールズに一票。
-- Set-list --
Intro/ABC/Your Kisses Are Wasted On Me/Why Did You Stay/Because It's Not Love/Judy/One Night Stand/Dirty Mind/Pull Shapes/We Are The Pipettes |
photos and report by kaori
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