クービィチェク!@ バーフライ、ロンドン(7th Jul. '06)
酔いどれも、おののくギター攻撃
カムデンのバーフライは狭い。といってもリヴァプールやカーディフにあるそれは、訪れた事がないので比較のしようもないが、入ってせいぜい150人。マナークという名のパブの2階に設けられたここのスペースにはそのため横の広がりがなく、ステージから見据える空間が縦に伸びているだけだ。音が広がらない分、重低音のきつい音楽であれば強烈に体の芯に伝わってくるスリルがある。
マイ・ケミカル・ロマンスのカラオケ大会のような最初のサポート・アクトが終わり、ほどなく2組目のザ・モーターレッツが登場。イングランド北東の港町、タインマスの3人組だ。ヘッドライナーのクービィチェク!とは友達とのこと。セックス・ピストルズの影響ととれなくもない投げやりな歌い方、勢いまかせでひた走る、表面はうるさくも、中身は軽く明るいメロディ。まあ、30分で「わし、もうたくさん」な気持ちになった。マイ・スペースのバンド・サイトに、ポップーパンクだなんてジャンル表記があったけれど、それって、まるでスイカと天ぷらみたいに食べ合わせの悪いもののように聞こえないだろうか?或いは北海道と沖縄が同居する街のような音楽。うーん、相容れない。キャッチーなフレーズも何曲かにはあったけれども、表現の軸はあくまでパンクなのでは、と思う。
とにかく、トリのクービィチェク!、何だい何だい、辞書引いてもこんな単語見つかんないが、どうやら、このバンドの知り合いの名前らしい。その人が、バンド名にその名をどうかと提案し、皆で決めたという。ニューカッスル出身の雄4人衆は冒頭から"ローマン・イズ・ベター"で飛ばしまくる。猛々しく掻き鳴らされる2本のギターが、スネア・ドラムを2個据えたドラミングと共にズンズン、腹の底まで響いてくる。絶え間ないギター・リフと荒いベースも絡み、行け行け、押せ押せの迫力である。そんな前進し続ける音に必死に追いつこうと、序盤は若干勢いまかせに聴こえた歌は割れ気味で、発音もはっきりせず、のたうつように歌われるほどに聴き苦しかったが、ペースになれてきたのか、4、5曲過ぎた辺りで、ここぞというメロディに、ややこもった、しかし色のある良い声で、曲に抑揚をもたらし、聴かせる。冒頭の会場のつくりが彼らの絶え間ない轟音に味方して、血管までをも律動させるかのように音がじかに体を貫いてくる。スピーディな展開の曲が中心だが、一つの曲に叙情あるメロディが基になっていることで、感覚的に音の静と動が伝わってくる。頭を振り、体を揺らす肉体がありながらも、感情が胸に迫るメロディに引き寄せられてゆくのだ。
"ナイトジョイ"、"タクシー"、今月10日にサポート・アクトのザ・モーターレッツと連名でインディ・レーベル、キッチンウェア・レコーズから3枚目のシングルを発売したのみで、まだ特定のレーベルとは契約の無いバンドだが、人それぞれが自分自身で彼らの音に気づき、聴いてみる機会を得て欲しいから、という思いでオンラインでの楽曲提供を続けているという。その結果、アルバム1枚分に筆頭する音源が、デモ盤も含めてマイ・スペースで試聴可能です。また、フォーワード・ロシアやアイ・ライク・トレインズ、ピジョン・ディテクティヴスら、リーズの期待の星や、ダービィからはコマキノといったインディ・バンドの光る原石を集めた『ホァット・ウィー・オール・ウァント』というコンピレイション・アルバムが、ダンス・トゥ・ザ・レディオというレーベルから入手できるので、機が熟す前のローカル・パワー炸裂な音を是非一度聴いてみてはいかがでしょうか。
-- Set-list --
Roman Is Better/Outwards/Method/Hope Is/Possible/Taxi/Stutter/Opening Shot/Start As/Nightjoy/Hometown Strategies/Shut It Down
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