button ザ・ヤング, 騒音寺
@ 下北沢クラブ・キュー (18th Jun. '06)

ファンキーなプライド / 生を肯定する哲学


The Young
 仕事のためかなり遅れて下北沢クラブQueに着いた。人が溢れていてなかなかフロアの中に入れない。バンドは怒濤のファンク攻撃の最中だった。この日を最後にベーシストのマオがバンドを脱退する。そのマオがものすごく弾けている。最後の演奏を楽しんでいるかのように笑顔だ。ジョーイのクリアで伸びやかな歌声と切れ味抜群の2本のギター、見る度に迫力を増すドラムスに、それを支える図太いベース。この5人での演奏が観られないというのは本当に残念だ。その5人からファンクが畳み掛けるように次々と繰り出してくる。スウィートなソウルバラード"頬笑みに涙"(ジョーイは途中歌詞を忘れてしまったが)を挟んで、再びファンク大会という構成。ステージ前に陣取るお客さんたちは、女の子が多く、音楽に合わせてずっと体を揺らしている。本編最後は、ちょっとオリジナルラヴあたりを彷彿とさせるマオ作の曲で締める。と、言ってもザ・ヤングのオリジナル曲のほとんどはマオ作なんだが……。この曲は、映画のタイトルロールが流れているときのBGMぽくて、やはりしんみりさせるのだった。

The Young 一転してアンコールは、ジェームス・ブラウンのカヴァーで"Super Bad"。凄まじい。この強力なファンクがずっと続いてくれればいいのに、と思った。最後に湿っぽくならずに、あくまでもファンキーであったことにバンドのプライドを感じた。もちろんバンドは終るわけでなく、今後も地元福岡や韓国でのライヴが予定されているというので、新生ザ・ヤングを楽しみに待とう。それまでは、会場限定で発売されたライヴ盤を聴いていよう。このライヴ盤はこの日やった曲が多いし。

 対する京都の騒音寺は、グラマラスでルーズなロケンローな出で立ちのメンバーが揃う。特にヴォーカルのNABEは、70年代のロックヴォーカリストたちを鍋にぶち込んで煮詰めたらこんな姿になるのではと思う顔をしている。泥水を啜って生きていく様を歌う"マディ・ウォーター"からライヴは始まる。ルーズなブルースやロックンロールが前半多めにように感じた。騒音寺の曲はどれも分かり易く、人生の悲哀を笑いにくるんでいる。演歌ぽかったり、コミックソングぽい。そして、そんな歌を通じてどんなことでも生きていこうとという前向きなメッセージがある。「死んで神になるよりも、生きていてバカにされる方がいい」なんて幾多の戦乱を生き抜いてきた京都(何せ「先の戦争は……」と京都人が言うと、それは応仁の乱を指しているという話がまことしやかにささやかれるくらいだし)の庶民の本音を感じさせるではないか。

So-on-g MCでは、ワールドカップに対してチクリと刺したり、世間に流されずにロックをやっている自分をきちんと引き受けていこうとする姿勢が清々しい。それが「ロックしかできへん顔」を持って生まれたNABEの矜持なのだ。そのあたりが怒髪天と非常にリンクする。

 ポール・バターフィールズ・ブルースバンドの"Born in Chicago"を彷彿とさせるブルースナンバー"ニグロの血"あたりから、グイグイと演奏はアゲ気味になり、"社会の窓から"のスピード感、迫力はすごかった。お客さんの盛り上がりもすごくて、"乱調秋田音頭"では多くのお客さんが手をひらひらさせて「ええじゃないか」状態で盛り上がりも最高潮へ。そして"Life is beautiful"では「楽しい時間は短いぜ/価値ある人生送ろうぜ」と彼らの哲学が凝縮されたような楽しさで本編を終える。

 アンコール1回目の"Let’s go Danny"社会の片隅で生きるダニだけど、したたかに生きていこうというコミックソングにしてメッセージソング。アンコール2回目の"SO-ON★G"でもフロアを盛り上げ楽しい時間を締めくくったのだった。


So-on-g
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