buttonフィールズ @ ザ・スピッツ、ロンドン (5th Jun. '06)

フジ・ロック前哨戦 其の三 フィールズの巻

Fields
 海外の音楽やミュージシャンを検索する際に欠かせないのが、世界規模で情報発信の元となっているマイ・スペース。拙文のディスク・レヴューなどでも試聴のリンク先としてかなりお世話になっているが、そのマイ・スペースU.K.版が主催した今夜のイベント、「マイスペース・フェスティバル」。先月は北方面のライヴ・ハウス続きだったものの、ここに来てようやく場所は変わって、現在の生きたロンドンの文化、音楽の発信源である東ロンドン、観光スポットのスピタルフィールズ中のベニュー、ザ・スピッツからのレポートであります。

Fields 会場入りが遅れ、オープニング一組目のソファ・クラブは中途から観賞。ま、特に可も無し、不可も無しの印象の薄いバンド。最初から観ていないので総評はできないが、聴いた感じではノイズ・ギターが目立つ純ロック・サウンドといったところ。お次のジム・ノワールが良かった。マンチェスター出身のこのシンガー・ソングライターは、ほのぼのとしたメルヘンチックなサウンドに、浮遊感ある優しい歌声が魅力なのだが、あんまりメディア受けする斬新さや、華が無いためにこちらのラジオではほとんど流れないのが残念。確かに200人入るかどうかという、こういう小さな会場では彼の素朴な音楽は合うが、それ以上の大きな場所では観客を惹き付ける力が足りないかもしれない。ただし、パワーやダイナミックさが無くても素敵な音楽を奏でる人は沢山おり、このジム・ノワールもそういった意味で、心が朗らかになる楽しい演奏で場を温めてくれた。

Fields そうして、ヘッドライナーのフィールズ現る。まだフル・アルバムをリリースしておらず、何曲かマイ・スペース上で試聴したのみだったが、3月のミステリー・ジェッツのギグで第二サポート・アクトとしてのライブは拝見しており、その時の印象が結構良かったので、はて今回はどうかという気持ちであった。が、まず冒頭の"ソング・フォー・ザー・フィールズ"のアコースティック・ギターの揺れるようなイントロに、メイン・ヴォーカルのニックと、キーボーディストのアントニアのハーモニーが美しくサビを奏で、激しい曲展開へと繋げていく。とにかく、音がでかいの一言に尽きる。いや、演奏もかっちりしているし、とってつけたように安っぽく無いアントニアの声量も、ニックの腰の据わったような少し湿り気を帯びた太い声も良く出ている。こんなにバンドの音自体大きくても、かき消されていないのも良し。始終お尻を向けているベースが特に音の比重が大きすぎて、その重さに途中げっそりしそうにもなったが、ドラム自体はそんなに激しいパフォーマンスではないのでなんとか乗り切れた。ニックは主にアコースティック・ギターとリズム・ギターに徹しているが、フォーキーな"ブリトルスティックス"、メロディックな旋律の"イフ・ユー・フェイル"以外は全体的にサイケデリックな音色を帯び、ギターのディストーションの多用が、シンセサイザーのじゅいいーんという、こてこて電子音と共に怒濤のプログレ世界を構築した感のあるラストの"ザ・デス"まで、単なるポップ・ロックとは一線を画したスタイルで期待以上の熱気を生んでいた。

 彼らのフジ・ロックでのパフォーマンスは2日目のレッド・マーキーにて。ちなみにアフター・パーティにも出演予定ということなので、前哨戦レポートで取り上げたミステリー・ジェッツ、クーラ・シェイカーと共に、是非一度観賞してみて下され。


-- Set-list --

Song For The FIelds / Son Of The Witches Son / Feathers / Brittlesticks / Schoolbooks / Skulls and Flesh / If You Fail / The Death


report by kaori and photos by emi
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buttonフジ・ロック前哨戦 其の三 フィールズの巻 : (06/06/05 @ The Spitz, London) : review by kaori, photos by emi


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