ベル・アンド・セバスチャン @ 品川プリンス・ステラボール (3rd Jun '06)
踊るスチュアート御殿
品川プリンスホテルステラボールという会場は、品川駅から近く、ショッピングモールやレストランの間をすり抜けて歩く。入り口は映画館や水族館などのアミューズメントもあって、周りは賑わっている。中に入ると、渋谷AXよりひとまわり小さく、昔のON AIR EASTよりひとまわり大きい感じのライヴハウスだった。ドリンクカウンターの位置のせいで、ドリンクを求める長蛇の列がなかなか消えないのが大変だった。
定刻を10分くらいすぎてメンバーが現れる。まずは"The stars of Track and Field"で始まる。最初はなんだかゆるい演奏がだんだん締まってきて、次の"Another Sunny Day"からはエンジンがかかってきた。まあしかし、この日、何よりも目に焼き付いたのはスチュアートのゴキゲンに歌い踊る姿である。スチュアートはMCで冗談を連発し、調子に乗りすぎてステージから飛び下りたり、カップルのお客さんをステージに上げて踊らせたりする。こんなにウキウキしたバンドだったっけ? と思ってみるけど、日本で初めて観たときから、彼らのイメージがどんどん変わっていって、ついにここまできたって感じである。
ステージにいるのは、8人のメンバーだけど、曲によっては6人になったり、ローディーまで演奏に参加させ9人になったりする。ドラムのリチャード以外のメンバーは、3つ以上の楽器を持ち替えてプレイするという相変わらず自在な編成で、アコースティックな感触があるかと思えば、エレポップまであってバラエティ豊か。"Electronic Renaissance"や"Put The Book Back On The Shelf"や、本編最後の"The State I Am In"、アンコールの"Dog On Wheels"など古い曲も結構やったので、新旧取り混ぜてバランスよい選曲だったと思う。そんな中で"The Boy With The Arab Strap"や"I'm A Cuckoo"、お客さんをステージに上げた"Jonathan David"が盛り上がった。正直、自分としては、やって欲しい曲はまだまだあったけど。
ベル&セバスチャンが日本に伝わってきたころは、メディアに露出しないし、ライヴもしないし、匿名性のある謎なバンドという触れ込みだった。こんな美しいメロディのある曲を次々と出してくるバンドの正体を突き止めるために教会ホールの管理人をしているスチュアート・マードックに会いに行く! というだけで雑誌の記事が成立していたような気がする。
最初の「内気な少年少女のためのギターポップ」というイメージがどんどん変っていく。アルバムも出す毎に、地下室で秘密結社みたく仲間が集まってコツコツと作ったものから、明るく開放的になっているのである。グラスゴーの音楽サークルにいたバンドが世界を知るようになって、より多くの人たちに届くような音楽にシフトするようになるまで歩みをずっと見守っていくというのは、なかなか感動的な体験なのだ。この日のライヴはひとつの到達点であったと言える。中にはそんな変化についていけない人もいたようだけど、お客さんの大歓声と拍手が今の彼らを受け入れている証拠だった。
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report by nob and photos by izumikuma
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