buttonアラン・トゥーサン @ 原宿ブルージェイウェイ (1st Jun. '06)

「素晴らしさの謎」が解けた!!

Allen Toussaint
「特に歌が上手いってわけでもないのにさ。何なんだろうね、あの素晴らしさったら」

 ライヴがはねた後、仲間内でビールを飲みながらそんな話をした。アラン・トゥーサンまさかの来日、しかもキャパ140という超小箱での、一日二回公演のショウ・ケース。第一部では客電が点きSEが流されても総立ちの客がまるで帰ろうとせず、とうとう予定外のアンコールが披露されることになった。急いで客の入れ替えを行わなければならない会場側にとっては冷や冷やもののハプニングだったかもしれないが、呼び戻されたトゥーサンのうれしそうな笑顔、そしてもちろん大喜びの観客。スタッフの冷や汗も一気にチャラにする、心に残る一幕だったのではないかと思う。

Allen Toussaint ステージ自体は本当にシンプルそのものである。ピアノ弾き語り、その一言だけで形態の説明はついてしまう。だけどどんなに言葉を尽くしても、あの至福のステージを伝えきれる気がしないのはどうしてなんだろう。冒頭で言ったとおり、とにかく文句なしに上手いというわけでもないのだ。ヴォーカルの技量や声量という点だけで較べたら、第二部で飛び入りしてくれたエルヴィス・コステロの方がはるかに勝っていると思う。しかし、自分は10年来のコステロ・ファンであるにもかかわらず、心に染みたのは正直言って、アランが一人で演奏しきった第一部公演の方だった。これはなぜなんだろう。

 数日間しばらく考え、やっと自分の中で折り合いをつけられる理屈を見つけることができた。前提として単純に曲が素晴らしいというのはもちろんある。しかしその曲の持つ可能性を、作者であると同時に名プロデューサーでもあるアラン本人だからこそ、最大現に引き出すことができるのではないか。車を速くしたいならジェットエンジン積めばいいというほど世界は単純にはできてない。そこにはそこに置かれるべき相性のエンジンがあり、歌がありアレンジがある。"Fortune Teller"の時には「ストーンズのおかげでヒットした曲だよ」と茶化したりもしてたけど、いやいや、ご謙遜されるな御大。あっちにはあっちの良さもあるが、やっぱりアランが歌ってこそちゃんと深いところに届く部分というのはあると思う。そう考えると、コステロが6〜7曲も歌いまくった第二部は、やっぱりちょっとオーバー・プロデュース気味だった気がする。ま、中島美嘉が紹介される一幕もあり、第二部はパーティー・モードだったんだって割り切ればあれはあれで素晴らしい体験だったけどね。

  ところで、これがどんなに貴重でレアなライヴだったとか、そもそもアラン・トゥーサンがどんなに偉大な人物かというのは、こちらのブログを参照にしていただいきたい。追っていくと色々面白い情報が見れますよ。前日に行われた教会でのコンベンションの様子とかもね。
Allen Toussaint


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