自鳴琴 (オルゴール) & ブリーチ @ 新宿マーブル (19th May '06)
疾走する悲しみ/世界を広げる音楽
雨が降りそうな新宿。Marbleというライヴハウスを目指して歩く。歌舞伎町の端の方にそのライヴハウスはあった。会場に入ろうとすると人が一杯で入口から奥にはなかなか進めない。そして東京ピンサロックスが終わりかけていた……。悔しいのでライヴ会場(とオフィシャルサイト)限定で売っているDVDを買う。
この日もヘッドライナー格はブリーチで女性バンド(もしくはヴォーカルが女性)を集めたラインナップだった。6バンド出てきて観ることができたのは4バンド、今回はそのうちORGEL(オルゴール)とブリーチを取り上げたい。
自鳴琴 (オルゴール)は4番目の登場で、セットチェンジの間に野郎どもが集まってくる。そしてバンドの登場に雄叫びを上げる。ベースの娘が可愛い。演奏が始まると、ステージ前ではモッシュの嵐、ダイバー(女の子も)続出という事態になる。彼女たちの出す音は容赦のないハードコアパンクで、この熱狂を巻き起こすのは当然のように激しく音を叩き付ける。はっきり言ってあんなに可愛い顔をして、こんなに凄まじい音を出すのかと驚いた。ヴォーカルはボーイッシュなギタリストで凄まじいスピードに乗せて声がよく通っている。"RINNE"では、イントロから合唱になり、激しいパートに移るとヘッドバンキングへ。それでいてヴォーカルの の声は疾走する悲しみといえるような憂いを帯びたもので、心掴まれた。彼女たちは仙台のバンドということなのだが、東京にも熱いお客さんが付いているようだし、今後もマークしておこうと思えるのだった。
そして、ブリーチは6番目のトリで登場。自鳴琴 (オルゴール)で十分に温められたせいか、ステージ前では野郎どもがモッシュ大会。これだけモッシュになったのは、数年前にライジングサンで観たとき以来だ。もちろん、彼女たちの爆音が暴れ魂に火を付けたということでもある。
"スカル裁判"からライヴは始まる。先日の下北沢と比べカンナの声がよく通るけど、演奏はややラフだった。しかし、この日は、ステージ前で暴れるお客さんたちをまえにして、そのラフさが迫力となっていた。"サムライジャングル"では、カンナの「あーーー来いっ!!」という叫び合わせてお客さんたちは拳を上げ、"サンダンス"でミヤが「はぁい!はぁい!」と合いの手を入れるのに合わせてこれまた拳が上がる。"カナリヤ帝国の逆襲"は久々に聴けた曲。基本的には新しいアルバムからの曲が多く演奏された。新しいアルバムの曲は、どれもCDで聴くよりも迫力あり、重く、生々しかった。特に"トーチ"のダークな疾走感は、そこいらのバンドには出せないものだ。そして"ハウリング"で本編が終わる。お客さんたちは熱烈にアンコールを要求する。
アンコールは"踊る首"。トライバルなリズムが打ち鳴らされ、カンナもミヤもそれに合わせてジャンプする。そしてミヤの超絶なベーステクニック、続いて音の洪水が襲ってくる。今のブリーチは、初めて観たときの衝撃を超え、聴くものの世界を広げさせる力を持ったバンドとなったのである。
-- set list --
1.スカル裁判 / 2.右も左も支配する頭は今日も肉を食いヨダレを垂らす。 / 3.サムライジャングル / 4.カナリヤ帝国の逆襲 / 5.Sun-dance (Moon-dance) / 6.スケッチブック / 7.げっちゅー人間 / 8.トーチ / 9.ハウリング
-- encore --
踊る首
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report by nob and photos by keco
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