buttonナイロン @ UFOクラブ (6th May '06)

ロックンロールの夢

Nylon
「ナイロンは先月八王子でギターウルフと対バンしてるのに、その時の様子は載せてくれないんですか。せっかくナイロンを追いかけておきながらこんな熱いブッキングを無視するなんて何やってるんですか。甘えんなこのボケ死んでしまえ」

Nylon  とまあ、端的にまとめればこういう内容の、非常に心のこもった温かいメールを読者から頂いた。実はこういうメールは大歓迎である。なぜなら言ってることが全面的に正しいからだ。時々いただく批判の中には正直「何いってんだろうこの人は」という感じの、送ってもらって悪いけど返信する気さえ起きない感情的抗議文もある。だが、今回の、冒頭のこの方の主張は全く正しい。都内で爆発が起きてるのにそれを伝えないなんて何がメディアだ、ジャーナリズムだ、といわれたらこっちはぐうの音も出ない。

 ただちょっとだけ言い訳させてもらえるなら、こっちは会社でもなんでもなくて、単なる気狂い貧乏フリーランスどもの集団なので、時にはどんなに歴史的に重要なライヴでも行けない事もあるのだ。「お前らアメリカやらエゲレスやら伊汰利屋やらにしょっちゅう出向いておきながら何言ってんだ」と思うかもしれないが、実際そうなのだ。うーん。ロックの神様がいるならこの状況なんとかしてくれないかなぁ。

Nylon  まあいい、現実を見よう。現実を見るのが辛いなら、せめてロックンロールの夢を見よう。少し強引な流れだが、とにかくこんな感じで今回のナイロンのライヴの話に持ち込む。暗幕が開ききらない内に、パキーンという感じの、ナイロンらしい抜けのいい爆音が響き渡って会場を挑発する。最高にドキドキする一瞬。この瞬間のためにオレは生きてる気さえする。さあ、今日も最高の夢を見せてくれよ、ナイロン。

 この日は連休真っ只中ということもあって、客足はいつもよりも若干さびしい感じかな、という印象。その客達もとりあえずは静観という意図だったようだ。ところがナイロンの演奏が進むにつれて彼らの様子は一変する。最初はスーツ姿の四人の暴走にただ唖然と言う感じだった初見の客も、徐々に両手を挙げ、そして声を荒げ、気持ちを極限まで昂ぶらせずにはいられなくなってくる。ギターを抱えたままシマノが客席に突っ込んでくるとトドメだ。驚愕の表情がすぐに喝采へと変わり、ビールが宙を舞い、歓声と嬌声がそこに存在する音の隙間までを残らず埋めてしまう。

Nylon  後半始めあたりに演奏されたのは"ララバイ"。スリー・コードのロックンロールが過半を占めるナイロンの持ち曲の中では珍しい、哀愁系ミディアムテンポの佳曲だ。ちょっとずるい。それまで圧倒的なスピード感と爆発力で攻めてきていたのに、突然こんな落差で胸をきゅんと締めつけてくるなんて。だが、それが終わるとナイロンの真骨頂であるド迫力インスト・チューン"ナイロン・サーフ"で嵐を呼び戻す。勢いついてまたもや飛び込んできたシマノを観客が天井まで持ち上げる。気が付くと、空いていたはずの会場は、いつの間にか人・人・人で埋め尽くされていた。

 終わってみれば今日も大熱狂だった。新曲もちらほら演っているようなので、ニュー・アルバムの予定をシマノに訊いてみると「いや、もうちょっと先かな」とお茶を濁された。絶対嘘だと思う。おそらく構想は頭の中に浮かびかかっている。すげー楽しみだ。あのライヴのダイナミズムと感動を、凝縮スープの素みたいに、ギュウギュウに詰め込んだアルバムを待ってますよ。

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