ジャネット・クラインと彼女のパーラー・ボーイズ @ 心斎橋クラブクアトロ (23rd Apr. '06)
ウクレレとセピア色な歌声と
「ナマ」で見ているのに、まるでそうではないような不思議な感覚。アメリカ漫画のキャラクターの実写版か、はたまた、昭和初期の映画の登場人物か。「歌姫」と呼ぶにふさわしいその歌声は、英語であろうと日本語であろうと、そんなことは問題ではなく、言葉の壁さえもあっさりと越えてしまう力を持っていた。
くるぶしがすっかり隠れるマキシ丈のスカートの裾を軽くつまんで持ち上げながら踊る姿が何とも自然で可愛らしい。現代の日常からかけ離れたような、まるで妖精のようなジャネットの佇まいが、見る者に夢と現実の世界の区別を付けにくくさせていたのだろうか。
アップライト・ベースにバンジョーやマンドリン、トロンボーン、バイオリン、ピアノ、アコースティック・ギター、そしてウクレレ。1920年代や1930年代に作られた曲たち。例えば、「1933年のオリジナル版『キング・コング』の映画の中で歌われていた曲なの。」と丁寧に曲紹介をしてから歌いだすジャネット。当時の大衆音楽と呼ばれるものなのだろう。ジャズっぽかったり、ハワイアンっぽかったりと幅広い。驚いたことに、日本語の曲も披露。川畑文子という昭和初期の歌手の曲は、新たに覚えたてきたばかりといった様子だったが、高峰秀子のヒット曲"銀座カンカン娘"は随分と歌いなれていたのだろか、歌詞の言葉のひとつひとつが心に響いてくるような、まさに「歌う」とはこういうことだという見本のようだった。
予備知識なしで会場に足を踏み入れたため、初めて聞く曲ばかりではあったのだが、古臭さを感じることはなく、そうかと言って、全てを新鮮に感じるというわけでもないという何とも不思議な感覚に襲われた。たしかに、今、この時代にヒット・チャートに載るようなジャンルの音ではないのかもしれない。何をもってしてポピュラー音楽、大衆音楽というのか。それはおそらくどこの国でも時代と共に変化していくものなのだろう。やはり日本語の曲でも分からない言葉がいくつか出てきたし、英語の曲とて何を歌っているのかを一度で理解できるだけの能力はないのだが、時代を超えて愛され続ける音楽、古典芸能としてではなく、大衆文化の一部として生き残ることができるだけの質を持った音楽というものもこうして存在するのだということを実感したのであった。
とはいえ、なかなかそういった音楽をライブで体験するという機会が少なくなった昨今。老舗のライブ・ハウスの閉店や、国こそ違えど、先日目にしたフランスの有名「キャバレー」店の経営譲渡の記事など、時代の流れの中で「淘汰」されていくのは仕方がないことなのかもしれないが、「もうけ」だけが追求されて「使い捨て」のようなものばかりが溢れていくのは、やはり少し寂しいような気がする。
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* 4/18 横浜公演の写真を使用しています。
report by miyo and photos by izumikuma
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2006
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