buttonザゼン・ボーイズ @ 渋谷AX (20th Apr. '06)

耳から飛び出る昇り竜〜

 後方にややスペースがあるものの、ほぼ満員の渋谷AX。お客さんの割合は、男の方が多いけど、女の人も結構いる。会社帰りと思われるワイシャツ姿も目につく。19:30というちょっと遅いスタートの予定が、さらに10分くらい押して会場が暗くなり、テレヴィジョンの"マーキームーン"が流れて、町田のヤンキーこと日向秀和が登場してチョッパー奏法のベースソロで会場を盛り上げ、他のメンバーも現れる。向井秀徳はサングラスに五重塔柄(?)のアロハシャツという姿である。まずは、人力ヒップホップの"CRAZY DAYS CRAZY FEELING"、向井が盛んに「トウキョー・シティー」と呼び掛ける。「TOKYO CITY」でなく「トウキョー・シティー」。向井が口にするとあくまでもカタカナだ。

 続く、人力ドラムンベースの"SI・GE・KI"など凄まじい迫力に圧倒される思いだ。向井の鋭いギター(時折キーボード)、日向のファンキーなベース、カシオメンこと吉兼聡の高速カッティングギター、柔道二段松下敦の超絶なドラムから、レッド・ツェッペリンを思わせる重量ファンクや、一転して80年代AORがアヴァンギャルドに浸食された"Water Front"、グランジなギターサウンドが向井が唸る狂言や浪曲を飲み込んで、全体的には中期ツェッペリンのヘヴィさを感じさせるとともに、キング・クリムゾンのように硬質で鋭く、次々と展開していく演奏でZAZENの世界が作られていく。

 そうした奇怪とも言える音楽でありながら、お客さんの反応は素晴らしく、ステージ前はモッシュが起こり、大勢のお客さんが腕を突き上げる。"WHISKY & UNUBORE"では「割れて砕けるワンカップ〜」と向井が歌うと「ワンカップ〜」という大合唱が返ってくるのだ。本編の最後あたりでは「ええじゃないか、ええじゃないか」とフロアを阿波踊り状態にさせ、そのピークに「東京ワッショイ!」と叫ぶ。

 あらゆる音楽を食いつくし、新たな怪物を生み出しているのであるが、日本のロックが「破壊」や「轟音」や「プログレッシブ」に向かうときには、ある種の格好つけや、気取りを含んでしまうものだけど、向井はあくまでもワンカップを飲みひっくり返っている酔っ払いである自分の姿を格好つけずにさらけ出す。

 向井は、フロアに降りていって男女のお客さん一人ずつステージに上げて即席のカップルを作らせる。しかも、アンコールでもう一度同じ男女を上げてスポットライトを浴びせた。さらに、メンバーには演奏中にデカくて派手なサングラスを用意して、無理やりかけたりと、いじり放題。アンコール1曲目はヴァン・ヘイレンの"JUMP"をおふざけっぽくやる。ステージの上にいる怪物は、シリアスも笑いも、全てを飲み込んで食い尽して、暴れているのだった。

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