ザ・50回転ズ in 昭和元禄クレージー天国 @ 下北沢クラブ251 (13th Feb '06)
マッシュルーム・カットのブルーハーツ
すごいものを見た。
面白いバンドがいるという噂は聞いていた。友人たちが次々巻き込まれているのを知っていた。Smashing Magのフォトレポを見た。それでもなお、ライブに足を運ぶのを躊躇していた。だって胃の奥に異物が置かれているような、イヤな予感がしていたのだもの。正体不明の不安感が二の足を踏ませていたのだ。
しかし、人間は時として自ら恐怖の中に身を投じてみたくなる。お化け屋敷とか絶叫マシーンとかね。「恐いもの見たさ」ってやつだ。そんなわけで、悪の魅力には抗えず、とうとうライブハウスに向かってしまった。初めて見たザ50回転ズのライブは、まさに全身が粟立つ恐怖体験。危険な刺激に、あっという間に病みつきになった。
お揃いのスーツを着てステージに立つダニー、ドリー、ボギーの3人から成るザ50回転ズ。エメラルドブルーのジャケットの似合いっぷりは、まるでやすきよのよう。しかしそこにきー坊の姿はなく、3人のやっさんが縦横無尽に暴れ回っている。見る者を容赦なく攻撃する制御不能な破壊力がむしろすがすがしい。
丁寧にブローされた長めのマッシュルーム・カットをぐわんぐわん振り回しながら左右に揺れるさまは、素で恐い。でも目が離せない。ふと気づけば、ダニーが口から血を流している。見る見る歯がピンクに染まっていく。これまた恐い。でもやっぱり目が離せない。しかもどんどん好きになっていく。困った!
驚天動地なザ50回転ズの勢いに押されて、お客さんもどんどんヒートアップしていく。自然にこぶしを突き上げたくなる。跳びたくなる。叫びたくなる。「何?これ?この感覚?」と思っていたら、小刻みに痙攣するダニーの向こうに、ヒロトが見えた。そうだった、初めてザ・ブルーハーツを聴いた時、こんな感じだったな。
フロアの熱狂ぶりも、青くキュンとするメロディも、ザ・ブルーハーツを彷佛とさせる。ザ50回転ズを見ながら「自分は今、真のロックンロールに触れている」ということに気づいて、ちょっと泣きたくなった。涙でにじんで見えるステージでは、ドリーが吐き出しただ液をブラブラさせていた……。
思うに、ザ50回転ズはリアルな『行け!稲中卓球部』だ。古谷実のマンガの根底に流れるロケンローな心意気を体現している。音楽やパフォーマンスはもちろん、ルックスの破壊力も含め、前野と伊沢がバンドを組んだら、きっとこんな感じに違いない。近いうちにきっと天下取るよ。
大変良いものを見せていただきました。 |
report by satori and photos by ryota
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2004
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恋の花咲いた : The Captains (16th Apr. @ Shibuya CYCLONE )
2003
キラキラ男子を目撃せよ! : DELAYS (18th Dec. @ Shibuya Quattro)
暗がりに漂う25年来のダンディズム : Echo and the Bynnymen (4th Dec. @ Shibuya Quattro)
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