button ナイロン @ 新宿マーブル (12th Feb '06)

ようし、充電完了。ありがとう!

NYLON
 ギターを抱えたままの体勢で何度もフロアに背面ダイヴを繰り返す。慌てた観客が急いで下から支える。シマノは体を持ち上げられたまま客の頭上で平然と演奏を続ける。と、ここでアクシデント。地上2メートル以上の、普通では絶対にありえない高い場所で弾いていたせいで、ギターのヘッドがライヴハウス天井の配線に絡まって取れなくなってしまった。振りほどこうとする様子を少し見せたが、すぐに諦めてギターを放り出しす。その潔さにはこっちが唖然とさせられる。結局、手ぶらのままステージに駆け戻るが、楽器がないのでドラム・キットからシンバルを強奪して素手の拳でブッ叩いた。今日のナイロンは後半になってキレッぷりにエンジンがかかってきた。

NYLON  最初はちょっとやりづらそうに見えた。中音(※注)がなかなか固まらない感じで、アタマ1〜2曲をそのまま様子見な感じで演奏した。しかし途中から吹っ切れたのか、それともこのハコの感覚を途中から体で掴んだのか。ヴォーカル・メグが徐々に、いつものように軽やかなステップを踏み始める。さあ、ナイロンのスリーコード・ダンス劇場の幕開けだ。シホのベースが密かに良い。極端に独創性のあるラインも難しいテクニックも使ってはいないのだが、ロックンロールのベーシストという立ち位置を完全に理解して、堅実なプレイで見事な下支えをしている。そうなると後はもうシマノの独壇場だ。ステージ狭しと走り回り、咥えたマイクを勢いよく吐き出し、ついには客席に乱入して人の輪の中でガシガシ弾きまくる。この神がかり的な運動量と演奏のクオリティがどうして両立するのか、いつも不思議でたまらないのだ。

NYLON  自分にとって最近、ナイロンのライヴに行くという行為は、女の子と付き合い始める時の感じを思い起こさせる。そう、恋をし始めたときの感覚に本当にそっくり。ライヴに行く日は朝からドキドキするし、「今日は何が起こるんだろう」とワクワクさせられるし、見るたびに少なくともひとつは新たな発見がある。それこそ恋人のいい所をひとつまたひとつと見つけていくように。そして何より、エネルギーをもらえる。「ようし、充電完了。元気になった。ありがとう!」そんな感じで終演後に会場を立ち去ることができるのだ。そういえば、次に会える時のことをすぐに考えてしまうところまでもが同じだ。次回都内公演は2月26日の新高円寺だっけ。今から恋しくてたまらないぜ。

※注……【中音(なかおと)】: ステージ上で、モニターと呼ばれる内部スピーカーで演奏者自身に聴かせる音のこと。対義語は観客に聴かせる音である 出音(でおと)。

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