button 新宿ロフト30周年ライヴ - ロック・オヴ・エイジーズ 2006
@ Shinjuku Loft (11th Feb '06)
Club "Vive Le Loft 30th" The Star Night

不器用こそがパンクロック


The Star Club
Gendou Missile ゲンドウミサイルは、日本語をさらに分解し、イキのいい単語を並べて、支離滅裂ながら特異な世界を構築する。スタークラブに「俺らはクラブ・ザ・スターの一員じゃねぇのかよ!」とスペシャルゲスト扱いであることを突っ込んだか思うと、すぐさま曲に移行し、フリつきでフロアをアジテート。すかさず「踊ったりしてるからスペゲスなんだよな」と自虐することも忘れない。上手い下手の線引きよりも、荒削りながらも、貪欲にアピールしていく姿勢が面白い。わずか10分程の転換を経て、自他共に認めるスタークラブの大ファン、シングルのライダースに鋲を打ち込んだコバヤシ(B.&Vo.)が率いるザ・スレイブマスター・コネクションが登場。どうやらファンを続けていると、顔が似てくるってのは偶然じゃないらしい。名古屋からこの日のために出てきたバンドは、見る者を眼力で射抜きかえし、塊のエイトビートを打ち込んでいく。ドラムの革にわずかに沈み込むショットに深みを与えるベース、ソリッドなギターが被さって、アウェーであるはずの新宿のロフトに、名古屋の楔を打ち込んでいた。

The Slavemaster Connection アルコール度数の高いボトルを入れ、酔いどれの表情をさらしながら、まとまった演奏を見せつけたクール・ロッズ。個々のスキルは相当なもので、それぞれが別の名前でロフトに出演してきたのだろう。E-ZO(B.)は体をピンクに染めあげてチョッパーでブリブリとえぐり、白く反転する目玉と踊るベロがインパクトを与えるCAT(G.)は、鋭い音を発して、オーディエンスの集まる所ににじり寄っていく。一緒になって転げながらも、整ったリーゼントにウエスタンシャツを纏ったKAZ(Vo.)がてんでばらばらな毒味を持ったバンドを、癖のある声でまとめあげていく。スローなナンバーで繊細な一面を見せたのは以外だったけれど、不器用な男達のロフトに対する想いが詰まっていたのではないかと思うのだ。

Kool Rodz ジョー・ストラマーに対する尊敬と親しみが入り交じった思いから、ザ・ストラマーズと名付けられたバンドは、日本のパンクシーンの牽引者。20年のキャリアを誇るベテランバンドなのだが、そんなそぶりは微塵も見せず、わんぱくそのままに暴れだす。シンガロングを助長するメロディに岩田(Vo.)の放つ反逆の言葉が乗せられ、フロアを奮い立たせていくと、ロフト内の熱気がさらに循環し、バンドのフロント総出でエビぞりに飛び上がったり、フロアにつんのめったりと、若手を上回る運動量を見せつける。無節操だけでなく、緊張感もビリビリと伝わってくる。過去にはスタークラブとの対バンもこなしているが、ことロフトで…となると、いくらストラマーズでも平静ではいられないはずだ。しかし彼らは、いっさいがっさいを蹴散らすことができる「武器としてのパンク」を身につけているから、堂々としたライブができるのだ。
The Strummers
Kool Rodz 先ほどまでステージにいたパンクスのほとんどがフロアへ紛れ込んでいた。その顔はオーディエンスと変わらず、鋭いながらもどこか嬉々とした光を放つ眼差しをステージへと注いでいる。赤フンドシに革ジャンを合わせた男がしきりに何かを叫んでいる。SEが流れると、途端に拳が突き上がる。メンバーが現れて、ヒカゲがマイクスタンドを掴むのを待たずに、ダイブの準備をしている奴がいる。セント・ヴィシャス・デーよりも、沸騰しやすいオーディエンス達が揃っているようだ。演奏が始まり、ビートの濁流に飲み込まれると、ダイブだけではあきたらず、天井の格子に捕まり、振り子になる者も登場して、その羽目の外し方がケタ違い。ごく初期のナンバーの"Let It Rock"もスローなオリジナルではなく、高回転になっている。度重なるメンバーチェンジを繰り返してはいるが、スタークラブにとってのロフトとは、いつでも危ない雰囲気が漂うハコなのだろう、ヒカゲを筆頭に全ての者がけたたましく走り続け、息を切らすこと無く駆け抜けていた。
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