カイザー・チーフス @ 大阪ビッグキャット (27th Jan '06)
真冬に汗だく続出
悔しいけど認めよう、いいライブだったよ。
なぜ「悔しいけど」なのか、それはまぁ音楽やライブに対する感想や思いなんてそれぞれの個人的なものだから、ここでダラダラ述べるべきことではない。この日の2バンドのライブを見た自分の正直な感想を出来る限り短い言葉で表すなら冒頭の言葉になってしまう。
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この日は日本ツアー最終日。初日の東京公演では些か不機嫌そうに見えたという意見が聞かれたザ・クリブス。でも心配しただけ損した。彼らのライブを見たことはなかったが、この日はとても調子が良いように見えた。客の反応も事前に聞いていたほど寂しいものではなく、むしろ後ろから見ている限りでは、前方はザ・クリブスのファンが陣取っているのかと疑うくらいの反応の良さ。まだライブ・バンドとしての「巧さ」を持っているとまでは言い難いものの、決して若さだけで押し通すのではない。ステージでビールを一本一気飲みしてしまう男っぷりを見せつつも、単なるギター・バンド的なサウンドでは終わらない楽曲の良さを見る者にきちんと伝えることができるバンドだというのが今回のライブを見て受けた彼らの印象。しかしもう少しボーカル部分が鍛えられればより一層その良さを発揮できるはずなのだが。今後の彼らの更なる成長に期待。
そしてカイザー・チーフス。今やイギリスではこんな小さい会場で見ることができないくらいに成功してしまった彼ら。本国並みのセットを持ち込むことはできなかったが、その分、バンドとしての真価が問われる環境にあったこの日の公演。昨年春にちょうどコレくらいの大きさの会場で彼らを見た者にとって、彼らの成長ぶりは称えるに値するものとして映った。
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ザ・クリブス同様、カイザー・チーフスのメンバーもリラックスしていて調子が良さそう。ライブ中どのメンバーも何度も自然な笑顔を見せ、バンド自身がこの日のショーを楽しんでいるようだった。ボーカルのリッキーはしっかりペース配分ができるようになっており、やたらと観客を煽るのではなく、観客のエネルギーも自分のものにする技も身に付けたようだ。この一年間、世界各地をツアーし、大物バンド達の前座を務め、自身のヘッドライナー・ツアーも成功させ、バンドとしてのバランスが非常に良くなったのだと思う。
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思わず唸ったのは中盤に演奏された"Modern Way"。「オーサカから来たヤツはいるか?」とリッキー。大歓声で答える観客。「リーズから来たヤツは?」なぜかこれまた手を上げる人がいっぱい。すると「じゃぁウェイク・フィールドから来たヤツは?」さすがにここで「イエェーイ」と答えてはまずいのだが、何でもそうするのは仕方のないことか。そんな観客を尻目にステージにはザ・クリブス(リーズの隣、ウェイク・フィールド出身)の3人が登場し"Modern Way"が始まった。そう、昨年春にもこの2バンドは一緒にツアーをしており、その際、互いの曲を交換してツアー限定販売でのシングルとして発表したことはご存知の方も多いはず。ザ・クリブスがカバーしたのがこの"Modern Way"。ステージに8人。バンド同士の友情を感じさせるあまりに美しいその光景に思わず鳥肌が立ってしまった。もちろんこのようなステージ上での競演は今回が初めてのことではないらしいのだが、最終日だったからなのかどうなのか、互いに労をねぎらうかのごとくハグをしていたその姿に、リーズ・エリア出身バンドの絆のようなものを感じたのだった。
アンコールを含め約1時間。お約束のリッキーの大移動(この日は会場後方にある階段まで行き、クラウド・サーフでステージまで戻った)も見られた。あと2,3曲は演奏できるだろうが、短かったとは思わない。アンコール最後の"Oh, My God"を聞きながら、Drowned In Soundというレーベルからその曲が発売された2004年5月のあの日、リーズにあるHMVでは入口近くに目立つようにそのシングルが並べられていたことがつい昨日のことのように思い出されて感無量。どうせここまで来たらザ・ローリング・ストーンズ並みに「これぞエンターテインメント」な大規模3時間ライブができるバンドになってしまえ。
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report by miyo and photos by tommy
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