カイザー・チーフス + ザ・クリブス @ リキッドルーム恵比寿 (23rd Jan '06)
その先を、観たくなる - Part 1
日本2大ロックフェスティバルにて、それぞれ新人枠として来日した2組。彼らは年を明けて再びやってきた。フェス期特有の浮かれた持ち上げ方から切り離され、「おかえり」の声とは別のある種冷静さでもって彼らを体験する。2組とも2005年の作品を引っさげてのライヴであり、クリブスは変わらない姿勢を、カイザーチーフスはデビュー作の最大値をそれぞれ示したようだ。そうしたものをみせられ、不思議と浮かんでくるのはさらにその先の姿である。気付けば私は二組とも「未来への期待」で評を締め括っていた。めくられた次のページには、果たしてどんな歴史が書き込まれるのだろう…。
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The Cribs
ファンの人にとってはジョイントライヴ的な見方でも、哀しいかな人気の差。後ろに「Kaiser Chiefs」の垂れ幕が掲げられたままという形で「前座」クリブスが始まった。
…と、個人的悲哀をまじえて書くものの、いざメンバーが登場してしまえばそんなこと全く関係ないもので、1曲目"Hey Scenesters"から間髪いれずに"Direction"へ移るなど、のっけから疾走のステージが気持ちいい。彼らのテンションも悪くないもので、マイクスタンドが倒れてはスタッフが直し…という様子を何度も見せえたり、ドラムのロスは上半身をこれでもかという位スティックの動きに合わせて動く。MCに時間を取らない分、演奏で伝えるという姿勢が感じられた。
れにしても、ライヴというものはやはり生の音を味わうだけに終わらず発見の楽しさもあるものである。書き手に嬉しいことに、彼らとて例外ではなかった。
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例えば、彼らのアルバムを所有している人が、友人に「クリブスってどんなん?」と尋ねられたら何と言うだろう。まあ2人に1人は「ペラペラ」とか「スカスカ」といった悪口のような形容でもって勧めるに違いない。彼らのレコードはシンプルな音の作りがなによりの魅力といってよいだろう。
けれども、こうしてステージというフォーマットに彼らを乗せてみると、レコードにあった魅力はいくらか剥がれて、その中から色々なものが見えてきた。パワフルさだけに身を任せすぎてモタつきを感じるロス(ドラム)の演奏などマイナス点もあるけれど、この日私が見た一番の収穫はメロディーの良さに改めて気付かされたこと。余分なものを一切省いて構成される彼らの音が、意外にも薄っぺらに感じず、しっかりと耳に届いてきたのである。
楽器をぶっきらぼうに放って退出したクリブス。その後ろ姿に「今後、もしかすると彼らからさらなる佳作が生まれるかも…」という可能性を期待する。
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report by ryoji and photos by nachi
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mag files : The Cribs
photo report : (06/01/27 @ Osaka Big Cat) : photos by tommy
その先を、観たくなる : (06/01/23 @ Liquidroom Ebisu) : review by ryoji,photos by nachi
photo report : (06/01/23 @ Liquidroom Ebisu) : photos by nachi
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