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初来日からしばらくの頃、リバティーンズの前座として一度は「来る」と言っておきながら急遽レコーディングにつき頓挫と、スエード・ヘッド達はいったいどこまで待ちぼうけを喰らわすんだろうか…と思っていた。今思うと、待たせてくれて良かった。グラスト帰りの6月末、彼らの地元・リヴァプールで見たライブは、確かに楽曲の良さや焦燥感を浮かび上がらせたものの、のめり込ませるほどではなく、偶然の出来事の数々（前座をつとめたTHE KOOKSの私的サークルがステッカーをワンサカくれたり、そのまたさらに前座をつとめた、妙ちきりんなトラッドの風が流れている名もなきおっさんバンドの演奏だったり）が面白すぎたこともあって、THE DEAD 60SとTHE KOOKSはあまり印象にない。わざわざグラストンバリーからブライトンを経由し、電車に揺られてリヴァプールまでDEADを見に行ったなどという実感はなかった。 お気楽道中のフォトアルバムには、やはりキャバーンクラブ周辺のDEAD60S曰く「デッドシックスティーズ的」なバンドの残骸や、アイルランド移民の反逆魂が作り上げた中華街脇のパブ『ポーグ・マホーン』のセクハラじみた看板がデデーンと鎮座し、踊っているのだ。いまだに、共にライブを見た友人には「前座の前座情報は分かったん？」と聞かずにはいられない。それだけ去年のライブにおけるDEADのパンチは弱かった。ロンドンに戻って、ポートベローで出会った中年のルードボーイ、ポール・シムノンの口から発せられた、図々しさと優しさが混ざった一言「（友人のアイツと俺に）タバコを2本分けてくれないか？」が、ささやかな英国紀行のハイライトであり、パンクを最も感じた瞬間だった。ちょうどその頃日本では、彼らがようやくレコ屋の平台を占拠しはじめ、本人達の意思とは無関係にパンクス殺しなバンド名がレコメンドに添えられて、じわじわと人気を集めていた頃だったけれども。 時は流れて1/20＠恵比寿リキッドルーム。SEの代わりに空襲警報が鳴り響き、赤い照明がスピンしているのは、おぼろげな記憶と同じだ。ただ違ったのは、ヤツらに余裕が感じられたことか。堂々とした面構えをして、ふてぶてしさも倍増、わめくフロアに一瞥をくれて、テレキャスをたづさえたマット（Vo.＆G.）が"Loaded Gun"のリフをカッティングしはじめる。ブライアン（Dr.）のショットは、スカやレゲエの叩き方ではないが、それが結果的にミクスチャーの匂いを漂わせていて、ファンクの最もおいしい部分を抜き出したベースラインと絡んでいく。大股開きのチャーリー（B.）は足裏を密着させた風変わりな地団駄を踏みながらリズムを太くする。ガレージから頂戴した荒々しいベースラインが轟き、無鉄砲なギターが突き進む"A Different Age"では、裏打ち中心でありながら、その音の切れ目を拒絶するベン（G.）が突起物をねじ込んで、決して行間を読ませようとはしない。 残響を生かし液体にも似た音の広がりをみせる"Red Light"や、切っ先鋭いサウンドに湿度ゼロのパーカッションが２つ、ボンゴとカウベルの連打が挿入される"TV & Magazines"のアレンジにさらなる意欲と未来を感じた。たとえ、とあるバンドの影を追い求めてDEADのライブに来たとしても、過去に思いを馳せる暇すらないだろう。彼らを見たら、すぐさま真新しいスプレーで書きなぐられて、虜になってしまうはずだから。 中盤のダブ構成で本格的に染みだした液体は、境目を溶かして一体にしていく。リラックスして伸びきった筋を引き締めるのは"Riot Radio"、鼻にかかった声が違法電波に乗って飛び込んでくれば、シンガロングと野性的な雄叫びがあたりからこだまする。感情の欠片もないままに言葉が捨てられる"Cold Soul"、不安定なオルガンがフラフラとついてまわる"You're Not The Law"は、スローな中に詰め込んだ反逆の精神が呪詛（じゅそ）のように響き、アンコールの"Last Resort"はスネアのショットが感情を排して進み、オーラスの"Ghostfaced Killer"で残した引っ掻き傷はいつまでも消えなかった。 カラカラにドロドロにと、幅広いアレンジを見せつけては刺激するくせに、全体を通してみると一切の無駄がない。時間の使い方にしても、そうだった。DJ的な感覚を持ち合わせているからか、本編にアンコールを入れても一時間弱。回転数を落とすダブを身につけたバンドだ、もう少しやってくれてもいいじゃないか。早くも「再来日希望！」のコールをあげてみようと思うのだが、どうだろうか。 [set list] Loaded Gun／A Different Age／Red Light／TV & Magazines／Too Much TV／Control This／Train To Nowhere／We Get Low／Riot Radio／Jam／Cold Soul／Horizontal／You're Not The Law [encore] The Last Resort／Ghostfaced Killer report by taiki |
 Mag files : The Dead 60s 妄想するのはもうやめだ (06/01/20 @ Liquidroom Ebisu) : review by taikiCD review : RIOT RADIO (04/10/25) : review by taiki |
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The official site The Dead 60s http://www.thedead60s.com/ the latest album  "無線衝突" ( 国内盤 / 特別盤 ) |
previous works
"デルタソニック・サンプラー" オムニバス
(国内盤) single : "Riot Radio" (UK import) "Last Resort" (US import) "Last Resort" (US import) *B面違い "Loaded Gun" (US import) "Ghoastfaced Killer" (US import) check the albums? |
 2006CD Review : Mutiny : ズート16 (12th Jan.)2005Column : クリスマスイブの伊勢参りに向けて : スカ・フレイムス (22nd Dec.)なんともな甘味処 : ブラッデスト・サクソフォーン (5th Nov @ 渋谷Oクレスト)たまらんわ21世紀型ソイソース : 松永孝義 The Main Man Special Band w/The Miceteeth (6th Oct @ 渋谷クアトロ)「おはよう」代わりのドンドコ : 猪之頭陣馬の滝太鼓 / 富士山見ながら「ヤーマン！」て！？ : アフリカン・ヘッド・チャージ (1st Oct. in 朝霧ジャム)煙って10年「バースデイ」 : Kemuri 10th Anniversary Event in Ebisu 3Days feat. Kemuri, Cool wise men, King Django (18th Sep @ 恵比寿ミルク)主役でピラニア軍団 : Special Others (17th Sep @ 代官山UNIT)期待と課題のダンスビート : Bandwagon (11th Sep @ 代官山UNIT) Snuck宇宙は新鮮なネタの宝庫です : Bloodest Saxophone Presents "snuck Uchu" feat.Bloodest Saxophone & Saboten (5th Aug @ 下北沢440) 酒をくれ、もっともっと… : ザ・ポーグス (26th Jun @ 渋谷AX) 音楽好きなら見ときましょう。 : ダーリンハニー (19th Jun @ シアターD) ビルと緑に囲まれて : Losalios (28th May @ Hibiya Yagai Ongakudo) プライベートビーチへ行ってきました : Jack Johnson w/G.Love & Special Sauce (25th May @ Tokyo Shinagawa Prince Stellar Ball) いちげんさん、どんどん来なさい！ : BANDWAGON (22th May @ Shimokitazawa ERA) MODS MAYDAY '05 25th Anniversary : 特集 (15th May @ Club CITTA' Kawasaki) Down Beat Ruler : intro / Little Fats & Swingin' hot shot party / Los Rancheros / Zoot16 × Sly Mongoose / DBR sound system & Gaz Mayall / The Ska Flames (3rd May @ Ebisu Garden Hall) BANDWAGONはアジテイター : Bandwagon. (7th May @ Shimokitazawa Shelter) 最後の予期せぬサプライズに、パンクスは燃えた : moe. (23rd Apr @ Ebisu Liquidroom) 余韻覚めやらず : Asian Dub Foundation w/ African Head Charge (15th Apr @ Zepp Tokyo) Down Beat Deluxe : mule train / Bloodest Saxophone / Wack Wack Rhythm Band : (10th Apr. @ Kawasaki Club Citta)interview : 祝 20周年 - プロフェッショナルで偉大なアマチュア・バンド : The Ska Flames (12th Apr) no title : The D4 (2nd Apr @ Shibuya AX) no title : Pilate (2nd Apr @ Shibuya AX) no title : VHS or Beta (2nd Apr @ Shibuya AX) 「！」は人の数だけ、Viva La Razza, Latino Heat！ : OZOMATLI (17th Mar @ Shibuya Club Quattro) Our Favourite Shop 〜いろんな楽曲よりどりみどり〜 : Cubismo Grafico Five (13th Mar @ Shibuya Quattro) Enjoy Yourself! : Your Song Is Good (13th Mar @ Shibuya Quattro) いち参列者のコメント : The Dirty Dozen Brass Band (28th Feb @ Shibuya Quattro) インプロはつくづく贅沢だと思う : The Benevento/Russo Duo (28th Feb @ Shibuya Quattro) 虹色 THE NIGHT CLUB : Scissor Sisters (25th Feb @ Tokyo Unit) ROSSOが笑う…不気味に : ROSSO (7th Feb @ Ebisu Liquidroom) |