新宿ロフト 30周年記念 "ロック・オブ・エイジス" @ 新宿ロフト (19th Jan '06)
パーソンズ
新宿ロフトはタイムマシンだ
オレが中坊の頃、ギターが弾ける奴はちょっとしたヒーローで、"NO.NEW YORK"が弾ける奴はスーパーヒーローだった。ヒムロとホテイのWビッグネームは北海道の片田舎のハンパな不良共にまで絶大な影響力を及ぼしていた。女どもはREBECCAやプリプリを聴き、ちょっとマセた奴はSHOW-YAや杏子や、そしてJILLに憧れて初めてのメイクに挑戦してた。時代は80年代だった。しかし、当時はバンドなんてこれっぽっちも興味のなかったオレはそんな連中を冷ややかに見ていた。数年後にそのツケは廻ってきた。
十代の終わりになって突然「目覚めて」からは、空白の時間を取り戻すために、貪るように音楽を聴いた。ビートルズやZEPやジミヘンなんかをはじめとしたロック・クラシックを片っ端から吸収する一方で、リアルタイムだったのに見過ごしてきたジャパニーズ・シーンを一からおさらいする羽目になった。せっかく同時代に聴くチャンスがあったのになぁ、とやわらかな後悔をしながら。ブルーハーツを、ZIGGYを、尾崎豊を遡って聴いた。そしてもちろん、BOOWYやPERSONZも。
場所こそ移転してしまったが、新宿ロフトはあの時代から今日もなお歴史を刻み続けている。本日2006年1月19日も会場はソールド・アウト。ステージを覆い隠したスクリーンには20年前のPERSONZの映像が映し出されている。西新宿のまだ狭かったロフト時代の貴重なライヴ・シーン、楽屋や打ち上げでのふとした素顔。と、ぷつりと画像が消え、ギターやドラムが鳴り響くと同時にスクリーンが上がって「現在の」PERSONZが登場する。嗚呼、新宿ロフトはまるでタイムマシンじゃないか。
JILLは現在もう(レディに敬意を表した自主規制)才のはずだが、相変わらずグラマラスで、声もむしろ艶を増し、ステージ上でのパフォーマンスも変に落ち着いてしまうこともなく今でも何度も何度もぐるんぐるんとブン廻る。マドンナ48才、シンディ・ローパー52才、ブロンディのデビー・ハリーに至ってはなんと60才。しかし、未だに現役。女は年を重ねるほどにアクティヴになるのだろうか。復帰した本田のギターが特にいかにもPERSONZというサウンドを奏で、それにJILLの歌声が乗っかり、フロアは先ほどの20年前の映像を思わせるタテノリ状態になる。
中盤は今日の見所。スペシャルゲスト・布袋寅泰が登場! 大喝采の中、例のHOTEIギターで無造作に"C'mon Everybody"のリフを弾き出す。ヴォーカルも自ら取り、それにJILLが被せてくる。ソロ・パートは長回しにして、本田毅にギター・バトルを吹っかける(これはカッコ良かった!!)。MCでは「昔は俺、金がなくてさぁ。高円寺時代はJILLにメシ作ってもらったりもしたよね」なんて密かな思い出バナシも披露。ステージに一緒に立つのは長い付き合いでこれが初めてとのことだが、息はぴったりだった。
新宿ロフトは今も昔も、こうやってバンドを送り出し続け、帰ってきた時には両腕を広げて受け入れ続けている。客電が点いた会場で周囲を見回すと、周りはみんな30〜40代で、革ジャンorリーゼントorサングラスといった、20年前からPERSONZやロフトを見続けてきたんだなと一発でわかる輩ばかりだ。バンドが、スタッフが、そしてファンが、日本ロックシーンの温床を支え続けている。帰り道、オレはあの時代と、昔のクラスメイトを(DEAR FRIENDSを)思い出して、アンコールで布袋を呼び戻して一緒に演ってくれたあの曲のフレーズを口ずさむ。
「♪No-No Baby No-No Baby 涙を拭いたなら ひとりじゃないのよ…」
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