スカ・フレイムス @ 渋谷クラブクアトロ (24th Dec. '05)
スカフレイムスの太陽は夜昇る - part1 -
お決まりのクリスマスソングが流れる夜の渋谷に、能天気で、スローペースで、楽しいと思われるものをなるだけいっぺんに飲み干そうとするルーディが集まった。奴らは、ライブとクリスマスと忘年会を丸ごと楽しめるのが、スカフレイムスの年末ライブだということを知っている。頭の中に存在する生涯手帳には、恋人の記念日よりも太い字で「クリスマスは夜に太陽を拝む」類いの、洒落た言葉がお約束として書き込まれているはずだ。
今年は、スカフレイムス結成20周年目の年だった。例年以上に転がった火の玉は、Down Beat Ruler東京に始まり、フジロック、DBR大阪、奄美大島と、驚く程のライブをこなし、立ち会ったオーディエンスに数多くの「新曲」を焼きつけて、浮き足立たせ、帰る頃には千鳥足にさせていた。一日経って冷静さを取り戻したルーディー達の間には、様々な希望に満ちたウワサが流れた。そのウワサをすべて解決したアルバム『REALSTEP』が発売されると「今はやっぱりこれしかない!」と言わんばかりに聞きこんで、曲が終われば自然と次曲のイントロが頭蓋の中で鳴りはじめ、フライング気味に歌いだす…と発売後一週間足らずで中毒となっていた。
クワトロに入ると藤井悟氏のDJがフロアを温め、バーカウンターには長蛇の列。クラブの雰囲気がハコを包んだのは、自然とできたファミリーの輪があるからこそ。クラブ育ちの20年間を凝縮したものだった。
サンフェルナンドメントパトロール(以下SFMP)はズラーッと横一列で並んでいるが、威圧感はまるでない。佇まいがナチュラルであれば、出てくる音もそれ相応な柔らかいアプローチで、アスファルトとコンクリートと石膏で出来た渋谷にいる事を忘れさせ、舗装されていない道のイメージが浮かんだ。偶然顔を合わせたミュージシャンが、即興でセッションをやる雰囲気に近いかもしれない。トリニダード・トバゴのカリプソや、ジャマイカ土着のメントを奏で、マイペースながらもフロアをうまく循環させていく。ルンバボックスと呼ばれるカリンバ(親指ピアノとも)とカホン(穴の開いたハコ)を組み合わせたようなハコからはカドのないベース音が放たれ、パーカッションと共に牽引していく。アコーディオン、サックス、ギターのメロディが加わって漂う匂いは、食でいうソウルフード。"科"学調味料(電装系)を一切使用せずに食せる味で、ボブ・マーリィの"Nice Time"をカバーしたりと、存分に浸れるライブだった。 |
SFMPからスカフレイムスまでのセットチェンジでは、松岡"プリンス"徹氏が登場し、ルーツレゲエやロックステディをセレクトしていく。あえてスカを排し、じらしているかのようだ。じらしたという意味では『REALSTEP』も同じこと。10年といえば、九九を覚えたての子供だったのが赤本を手にとる青年となり、ブリットポップにしても、全盛期から映画が作られてしまうほどの昔話になっている。そんな長い期間にも関わらず、スカフレイムスは前作の『DAMN GOOD』と変わらない「らしさ」が流れている。不良な歌も、優しい歌もあるのだ。興奮気味にそんなことを考えつつバーカウンターへ向かうと、行列はさらに伸びていき、ざわめきの倍々ゲームもはじまりだしていた。
節目のライブは"Good Morning"からだった。カラカラなスネアのショットとともに「ワッ」と歓声が沸き起こり、太陽がゆっくりと顔を出しはじめた。ベースの丸い音とリズムギターのカッティング、パーカッションが走り出し、ホーン隊のコーラスとジンベエに身を包んだ伊勢さんのダンスを待ち受けていた。すでに馴染み深いものとなっていたメロディは、フロア前方で激しいモンキーダンスを、後方では上下に体を揺らす現象を生み出して、ハコ全体を包み込んでいった。3連符のリズムになると、皆が同じ顔になってはステージを見つめ、首から下は思い思いに、スカフレイムスを浴びていた。息つく間もなく、アルバムの流れを踏襲し"聞こえてこないか"へと繋ぐ。やがてくるシンガロングに身構えたルーディ達は、息のあった合唱を生み出し、大いに喉を鳴らしていた。掛け合いのコーラス部分では、アーティストとオーディエンスという壁があっさりと崩されて、残ったのは先攻と後攻の駆け引きのみ。まどろっこしいモノが一切存在しない探りあいが繰り広げられていた。このまま新譜でいくかと思ったら、ミュートしたカッティングがさりげなく飾りブロウするホーンが巻きつく初期のナンバー"Ska Fever"に突入し、日本における裏世界の伝道師は、まんまと僕らの裏をかいたって訳だ。しかし流れに違和感は微塵もなく、20年前にとりあげた楽曲がそのまま今に続いていた。
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report by taiki and photos by hanasan |
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