buttonくるり @ 神奈川県民ホール (21st Dec '05)

淡々としたリアリティー


quruli
 昔から故郷のことを歌った曲にすごく弱い。B・スプリングスティーンの"My hometown"とか"RIVER"とか、ハイ・スタンダードの"GROWING UP"とか、そして椎名林檎の"正しい街"とか。ところでその林檎嬢はこの曲について非常に興味深いことをいっている。曰く、「"正しい街"と、くるりの"東京"は、同じことについて歌っているのではないか」、と。くるりのこの代表曲を深く理解するためにこれは非常に重要な見解だと思う。

quruli  地方出身者にとって東京で暮らすということは、何かをすり減らして生きていくことではないかと時々思うことがある。岸田君の(どうしてこの人は「君付け」したくなっちゃうんでしょうね)書く曲は、その象徴のようだとたまに思う。ただ淡々と、本当に淡々と、我々が日々すり減らしてしまっている何かを、くるりの世界観は描き出す。これ以上気づかない振りをすることを静かに拒絶するように。

 たとえばこの日のライヴもそうだ。"ロックンロール"から始まり、ミディアム・テンポの曲から轟音ロック・ナンバーに繋げていく流れの中で、たわいもないMCを何度も何度もその中に挟みこむ。演奏は抜群に上手いけど人間としてはダメな大学軽音部の日常風景みたいだ。挫折や苦悩はその構成の中にとても巧妙に織り込まれてしまって、ともすれば気づかずに通り過ぎてしまう。だけどそれは確実にそこに存在している。

quruli  例を挙げよう。"ハイウェイ"や"ばらの花"では、岸田君お得意の「旅に出よう」という文句が出てくる。でもここで感じるのはポジティブな動機よりもむしろ、都会の喧騒に少し疲れて休息を求める魂の声だ。奥田民生のようにマイペースでさすらうわけではない。そういうことができるくらいなら苦労はしないのだ。しかし一方で、ひどく絶望しきっているわけでもない。この日は“ワールズエンド・スーパーノヴァ“も演ったが、この曲は混沌としながらも最終的に希望に辿り着く内容で、同じカオスの世界でもチバユウスケの諦観(※注)とは対照的である。

quruli ※注…チバはチバで、絶望しているというのとはちょっと違い、彼の歌詞の根底にあるものは「道(タオ/光があるから闇もまたある)」の真理からくる諦念だと思うのだが、これはまた別の機会にどこかで検証したいなと思っています。

 ライヴが終わった後、体か心のどこかにぽっかり穴が空く。いや、元々空いていたその部分を、否応なしに思い出さざるを得なくなる。淡々としていようとも(あるいはしているがゆえに)、くるりの曲の持つ寂しさや物哀しさは肌で感じられるほどにリアルなものなのだ。そしてそれを確認して、ぼくらはやっと次の一歩を踏み出す。その部分を埋めるための旅に出る。

安心な僕らは旅にでようぜ
思い切り笑ったり泣いたりしようぜ
(ばらの花)

report by joe and photos by ryota

photos : Part1 | 2

buttonMag files : Quruli

button淡々としたリアリティー : (05/12/21 @ Kanagawa Kenmin Hall) : review by joe,photos by ryota
buttonphoto report : (05/12/21 @ Kanagawa Kenmin Hall) : photos by ryota
buttonphoto report : (05/11/23 @ Zepp Fukuoka) : comment and photos by suguta
buttonphoto report : (05/04/05 @ Shinsaibashi Club Quattro) : review and photos by ken


The official site of

くるり

http://www.quruli.net/


check 'em? -->Quruli


The latest album :

くるり

" NIKKI(初回限定盤DVD付)[Limited Edition]
/ NIKKI(通常盤)"




previous works
CD

Baby I Love You(初回限定盤)[Limited Edition][Maxi]
Baby I Love You(通常盤)[Maxi]
赤い電車[Maxi]
Superstar[Maxi]
ばらいろポップ
初花凛々(初回限定盤)[Limited Edition][Maxi]
初花凛々(通常盤)[Maxi]
BIRTHDAY[Limited Edition][Maxi]
BIRTHDAY(初回)[Limited Edition][Maxi]
アンテナ
ロックンロール[Maxi]
ジョゼと虎と魚たち(Original Sound Track)
ハイウェイ[Maxi]
HOW TO GO[Maxi]
Jam Films オリジナル・サウンドトラック
BEAT OFFENDERS~A TRIBUTE TO THE COLLECTORS
ISOLATED AUDIO PLAYERS
ファンデリア(おまけつき)
HAPPY END PARADE~tribute to はっぴいえんど~
男の子と女の子[Maxi]
どんなものでも君にかないやしない 岡村靖幸トリビュート
THE WORLD IS MINE
ワールズ・エンド・スーパーノヴァ[Maxi]
リバー[Maxi]
TEAM ROCK
ばらの花[Maxi]
ワンダーフォーゲル[Maxi]
春風[Maxi]
図鑑
ファンデリア
街[Maxi]
青い空[Maxi]
さよならストレンジャー
虹[Maxi]
東京[Maxi]


くるりワンマンライブツアー2005 〜はぐれメタル純情派〜

11/26 高知 BAY5 SQUARE
11/28 神戸 チキンジョージ
11/29  広島 クラブクアトロ
12/6 岡山 アクトロン
12/9 新潟 フェイズ
12/11 富山 club MAIRO
12/13 Zepp Sendai
12/21 神奈川県民ホール
12/23 金沢市文化ホール
12/27 大阪城ホール

くるりワンマンライブツアー2006 〜はぐれメタル魔神斬り〜

1/8 日本武道館
1/11(水) 愛知県勤労会館
1/13(金) 福岡市民会館
1/14(土) 広島 アステールプラザ 大ホール
1/18(水) 札幌教育文化会館
1/20(金) 仙台 電力ホール
1/21(土) 岩手 教育会館
1/25(水) 長野県松本文化会館・中ホール
1/26(木) 山梨県立県民文化ホール・小ホール
1/29(日) 京都磔磔
1/30(月) 京都磔磔
1/31(火) 京都磔磔

詳細はこちらでご確認ください。

check the albums?

search:
Amazon.co.jpアソシエイト


button 2005

button"JET"を付ければ、夜はカッコ良くなる : ギターウルフ (16th Dec. @ 代官山ユニット)
button素敵なお行儀の悪さ : デトロイト7 (14th Dec. @ 渋谷クアトロ)
button不協和音の意味 : インビシブルマンズ・デスベッド (3rd Dec. @ 月見ル君想フ)
button信州ロックンロール旅情 : (Dec. @ 長野)
buttonファンがライヴをつくりあげるのだ : オアシス (18th Nov. @ 代々木第一体育館)
button富士の麓で、大爆発が : フロッギング・モリー / どこへ行くモーサム、どこへ行く武井 : モーサム・トーンベンダー (1st Oct. in 朝霧ジャム)
button人生に迷ったときに : 勝手にしやがれ (30th Sept. @ リキッドルーム恵比寿)
buttonこいつら、わかってんなあ : インビジブルマンズデスベッド (12th Jul. @ 下北沢251)
button苦しくとも、水中を追う! : 水中、それは苦しい (27th June @ 高円寺クラブライナー)
buttonColumn : これを聞かずに、死ねるか! : Elvis Costello "Armed Forces" (27th June)
button自分の席で観やがれ : ジャック・ジョンソン with G.ラヴ & スペシャル・ソース (2nd June @ 東京国際フォーラム)
button湧き出すエネルギー : 渋さ知らズ (1st Apr @ 新宿ピットイン)
button若者よ、老舗の店に行こう : シオン (11th Mar @ リキッドルーム恵比寿)

button 2004

button世界中の窓を通して : スティーヴ・ニーヴ (17th Dec. @ 青山カイ)
button観・歓・感(観客、歓喜で、感極まる) : エルヴィス・コステロ (14th Dec. @ 東京厚生年金会館)
buttonアトラクションズの亡霊 : エルヴィス・コステロ (8th Dec. @ 東京厚生年金会館)
buttonこれはロックンロールですよ : ブン・ブン・サテライツ (30th Nov. @ 代官山ユニット)
button新たな顔の発見 : ポカスカジャン (12th Nov. @ 六本木センセーション)
buttonInterview : GAL盤(ギャルバン)の時代到来 !? 〜 東芝EMI・N氏に突撃! : 「GAL盤」レコ発ライブ (28th Oct. @ 渋谷チェルシーホテル)
buttonjoeのGlastonburyあれやこれや : Glastonbury Festival 2004 (25th-27th June @ Pilton, UK)
button道南パンク行脚 : イントロ / 番外編 vol.1 : 旭川には何があるのか 〜ザ・ジョニー・ボーイズ / vol.2 : 札幌のSKAシーンとは 〜髭楽団 / vol.3 : すすきのにヤマグチの歌心、染み入る〜 サンボマスター / vol.4 : 男四匹ガキ大将 〜 怒髪天 / 札幌はやはりアツかった 〜 ハワイアン6 (その1) / 苫小牧にバンドが来る理由とは !? 〜 Hawaiian6 (その2) / 胆振地方パンク活性化仕掛け人・FREE KICKカワギシ氏に訊く / 室蘭の堤防、決壊 ! ! 〜 ハワイアン6 (その3) / 変化と成長という旅を続けるバンド 〜 HUSKING BEE / エンターテイナーの特権 〜 10-FEET / 涙が円陣に落ちていく(そして、旅の終わり) 〜 10-FEET / アウトロ (25th May - 3rd Jun '04)
button日本発オリジナルSKA! : Doberman (9th May. @ 恵比寿ガーデン・ルーム)
button"magが果たし状を受けた !! : MURATRIX (7th May. @ 池袋マンホール)
button"ケン違い"って……!? : Ken Yokoyama (28th Apr. @ 渋谷クアトロ)
button4月11日、ハチ公前の祈り : 平和アピール集会 (11th Apr. @ 渋谷ハチ公前)
buttonブレイクするんじゃねえか!? の真相 : The Captains (27th Mar @ 秋葉原グッドマン)
button時間は止まったままだった : Rickie Lee Jones (26th Mar @ 渋谷文化村オーチャード・ホール)
button人間と音楽の持つ可能性(ラジオスターとの再会) : Ani Difranco (8th Mar @ 渋谷 0-East)
button会場を包み込んだもの : Ben Harper & The Innocent Crimiinals (4th Mar @ ゼップ東京)
button衝撃、冷めやらず : Three Bullets and a Gun (17th Feb @ 新宿ドクター)
button博多からの刺客!! : Mellow Yellow (17th Feb @ 新宿ドクター)
button情念は届くだろうか : Ghost (17th Jan @ 池袋アダム)



無断転載を禁じます。The copyright of the article belongs to Joe Takamatsu and the same of the photos belongs to Ryota Mori. They may not be reproduced in any form whatsoever.counter
==>Back To The Top Page : JPN / ENG.