鬼怒無月 with ゴンザレス三上(from GONTITI), Baku Sawada(from David Lindley Band) & 松田美緒 @ Ten-On Osaka(17th Dec.05)
ささやかなる祝祭
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本来、ジャンルの束縛から実に自由な音楽を試行錯誤しているのに、なぜか"アルゼンチン音響派"として括られるシーンのなかで、その中核を担うギタリスト、フェルナンド・カブサッキ。そのカブサッキをして「彼らはとても自由だ」とシンパシーとリスペクトを感じる勝井祐二や山本精一といった日本のミュージシャンたちのなかに、鬼怒無月の名前も挙がっていた。
大阪市の北端、幹線道路とその隙間を縫う下町風情に埋もれるかのような一角の小さなスタジオで、ひっそりと彼のツアーは行われていた。寒波がどっかりと日本列島に居座っていた、木枯らしの吹きすさぶ12月の夜だ。そんななか、飄々と始まったギグは、まず鬼怒無月のソロで2曲。 |
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オリジナルはコロコロとしたエレピの音色が印象的なショーロ風のアントニオ・カルロス・ジョビンの"ストーン・フラワー"が、鬼怒無月の丹念な指さばきと慈しむような間のなかで、まるでスペイン古曲のような情景を紡ぎ出す。イスラムとキリスト教やユダヤ、そして土着の文化が豊かに混合していた、レコンキスタ以前の寛容の風景に、想いを馳せてしまった。スタジオの暗い照明のなかで紡がれるせいか、慎ましい弦の音色が、チロチロと闇を舐め取る蝋燭の炎のようにも思える。なぜだか儀式めいて、陰影を浮き彫りにするかのように、祝祭的でもある。 |
続いてデヴィッド・リンドレー、ライ・クーダー、それにロバート・ランドルフといった稀代のスティール弾きたちとの共演歴を誇るBaku Sawadaが、ワイゼンボーンとドブロを携えて2人でのセッション。情景は砂と埃にまみれた逃げ水か蜃気楼のように、ザラついて、一気にストーンド・アウトしていくのに、カラカラに乾ききるどころか、うねるように共鳴する二つの音色は、豊かな潤いを滴らせている。のは、ギタリスト鬼怒無月の大ファンだったと吐露するBaku Sawadaのキラキラした眼差しが常に注がれている、そんな関係性にあるのかもしれない。
そんな2人が紡ぎ出す情景に次に加わるのは、05年の夏にポルトガルのファドや大西洋上の島国カーボ・ヴェルデのモルナ、それにブラジルのサンバ・カンサゥンやショーロを丸ごと吸収して、汎ポルトガル的でトランス・アトランティックなアルバムでデビューを果たした松田美緒の歌声。 |
| 日本人が歌ったり、あるいは演奏したりするエキゾチックな音楽を聴くと、逆説的にどうしても日本の豊かさを痛感してしまい、どう表現していいか思い悩むことは多々あるのだが、現地で歌手として数年を過ごし、またヒッチハイクでヨーロッパ各地を回っていたという松田美緒には、僕にとってはトラウマのような心配は杞憂だったことが、なによりも新鮮で嬉しかった。同じ感覚はsaigenjiにも覚えたが、彼女もまた、表現の手段としてファドや熱帯ポルトガルの音楽に、出会ってしまったのだ。ネイティヴではない自身のなかの暗中模索を、ポジティヴなものに昇華してしまう。その過程に真摯に向き合うからこそ、そこから生まれるものがあるのだ。歌声以前に、その吐息からは、彼女がこれまでたっぷりと吸い込んだ、豊潤で滋養に満ちた空気の粒子がほとばしる。 |
| 「ご近所の三上さんです」 そう紹介されて低身低頭入場したのは、この日のシークレット・ゲストだったゴンチチのゴンザレス三上。実際に近くに住んでいるらしいのだが、この夜の贅沢なラインナップにひときわ華を添える役者ぶり。また、鬼怒無月という人の音楽性に魅了された1人でもあり、冒頭のカブサッキの供述を反芻してしまう。絡み合う2人の視線といい、艶やかにもつれる激情のような擦撥音といい、露骨にエロチックだ。いやぁ、とんでもないものを目にしてしまった…。最後は全員でのセッション。豊かに混合する儀式めいた祝祭の様相が、加速する瞬間。国境も国籍も、文化も越えて。そこにあったのは、慎ましくも豊潤な、自然との混交…トランスの原点だ。 |
mag files : Natsuki Kido
ささやかなる祝祭 : 鬼怒無月 with ゴンザレス三上, Baku Sawada & 松田美緒 (17th Dec @ Ten-On Osaka ) : review and photo by ken
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2005
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photo report | 心象風景の ピアノフォルテ : リクオ (30th Jan @ Juttoku Kyoto)
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2004
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祭りだ、祭り : Shibusa Shirazu (10th Mar @ Shinsaibashi Club Quattro )
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沖縄小旅行〜国際通りの喧噪と喜納昌吉&チャンプルーズ、基 地の町嘉手納へ : (Mar @ Okinawa)
泥酔エンターテイナー : Gaz Mayall (13th Mar @ Osaka Big Cat)
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これほど罪深いものは、ない : Ben Harper & The Innocent Crimiinals (1st Mar @ Namba Hatch)
この瞬間に存在するドキュメント : Meganoidi (7th Feb @ Osaka Big Cat)
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