上々颱風『シャンシャン ナイトフィーバー』 @ 東京シネマ倶楽部(鶯谷) (10th Dec. '05)
君よ、ニギヤカの色を見ろ!
言葉や音に色が見える共感覚。この世にはそんな稀有な能力が存在するという。人づてに聞いた話なのでよく分からないが、そんな人がもしこの日この場所を体験していたら、彼の彼女の視覚は何色を捕らえたであろう。暖色?愛より深い青色?スピーカーから溢れ止まない風光明媚に腰を抜かしていたかもしれないが、ぜひともお伺いを立てたいと思う次第である。
ポン引きのおばちゃん、狭い路地でクラクション鳴らし、譲り合わない風俗嬢お届けドライバー、そして洗練を忘れた電飾を光らせるラブホテル達。初めて訪れた鶯谷は、クリスマスシーズンどこ吹く風のオールドファッションな盛り場の景色。その錯雑の中の雑居ビル六階に、この夜一番の輝きを放つであろう東京キネマ倶楽部はあった。今は弁士付き活動写真館、サルサ教室などに使われる元キャバレーのキネマ倶楽部。そこをエゴラッピン恒例クリスマスパーティの前にステージとして使ったのが彼ら上々颱風である。
「シャンシャンナイトフィーバー」と題されたこの夜。メンバー達はタキシード姿で登場し、早速このレトロ空間に溶け込んでみせた。ホーン隊とパーカッションを加えた大所帯10名ということもあって、サウンド面の展開が実に面白い。新旧織り交ぜる定番曲の中に、"スーダラ節"を"Play That Funky Music"のオケで歌ってみせたり、他にもそうしたディスコチューンに日本詞を乗せて歌うなどしてみせ、タイトル通りの演目で楽しませていく。その他にも、ホーン隊が"ツァラトゥストラはかく語りき"(2001年宇宙の旅でお馴染み)やスウィングミュージックのアレンジを加えるなど、従来の楽曲におけるサウンド面の豊富なバラエティをさらに押し広げた。こういった多様性は、この日に限らず彼らのライヴの醍醐味に違いない。飄々とやってのけるところは流石15年選手。
また、演奏もさることながら、視覚的にも…というのが彼らである。衣装も振り付けも60'sにアレンジされた"ピンクのチャリンコ"に、地元で贈られたという健康体操の上映があれば、彼らのコンサートでは定番の「ハリセンローズ」なる余興もあったりと、寸劇的要素がお客さんを楽しませていた。たびたび行われる衣装チェンジなど、鶯谷の雑然に負けず劣らずのにぎやかなステージ上である。
ところで「上々颱風のファンの皆様も高齢化が進んでいるようで…」とMCで茶化していたが、いわれてみれば客層がえらく高いことに気付く。のめりこんで日も浅いクチなので気付かなかったが、彼らのリスナー年齢層は少々お高めのようである。しかし、このキネマ座にはワカモン以上の活気があるのだから不思議なもの。さすがにモッシュなどはなく、いわゆる「コンサートノリ」というものだが、その手拍子へ勝手に"ジンギスカン"の合いの声を勝手に入れてしまうなど、様式ともかくの元気は見ていて気持ちがよくなってくるほど。ステージから放たれるエネルギーは、きっとこうしたお客さんからの後押しで相乗を見るのに違いない。
そんなステージとフロア双方譲らぬ溌剌の応酬は、"本物しなけりゃ意味が無い"アンコール"いつでも誰かが""愛より青い海"という名曲の連続をもって幕を閉じた。途中10分の休憩を挟みつつ、150分にも及ぶショータイムを終えても退出の人ごみにはまだまだ残る活気が。いやいや、色々な意味で素晴らしいものを観させてもらったものだ。
最近、私は二つの不思議を感じている。一つ、流通ルートが増えたにも関わらず、耳にする多くの楽曲の中からなかなか名曲を見つけ出せない不思議。そしてもう一つが、自分も周りもモノクロじみた気分が増えた気がする不思議。あなたは感じないだろうか?もしあなたも同じものを感じているのならば、そこから抜け出せる方法を私から一つ。今一度上々颱風の音に触れてみてほしい。のれんをくぐるような気軽な入り口の先に待っているのは、肩こりも忘れちまうような色とりどりの音の世界だ。
ちなみに、次回のライヴはこちら。
[多文化共生プロジェクト] 音楽地球人スペシャル@かつしかシンフォニーヒルズ
■日時:2006年2月26日 開場:15:30 開演:16:00
■会場:かつしかシンフォニーヒルズ
■入場料:\3,500(全席指定)
■問い合わせ:かつしかシンフォニーヒルズ 03-5670-2233
■チケットお取扱い
シンフォニーヒルズ・チケットセンター 03-5670-2233
リリオホール・チケットセンター 03-5680-3333
葛飾区文化国際財団ホームページ http://www.kccf.or.jp
report by ryoji
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