button インビシブルマンズ・デスベッド
@ gRamouRous vol.9, 月見ル君想フ
(3rd Dec '05)

不協和音の意味

Invisibleman's Deathbed
 ジャズは不可思議で奥深い音楽だが、その中でも特に奇妙で興味深いのはセロニアス・モンクの作品群だ。ピアノが全く弾けない人でも明らかにそれとわかる不協和音をわざと多用し、耳触りがいいだけの凡庸な音楽の海に安易に沈むことに抗っている。だがそうなると、音楽において「正しい」とは一体何なのだろうかと考えこんでしまう。先生は言う、隣り合った音を同時に鳴らしてはいけません、それは不協和音で「正しい音楽」ではないから。でもだったらモンクのピアノは「正しい音楽」ではないのか? あの不協和音こそが激しく人の心を揺さぶるのに?

Invisibleman's Deathbed  最近はインビシブルマンズ・デスベッドに"不協和音の意味"を改めて考えさせられる。この日、青山のライヴは二階から冷静に観ていたのだが、改めて個人の演奏能力は非常に高いバンドなんだなと再認識した。特にドラムス・宮野の持つリズムキープの正確さとパターンの多彩さは、そのまま熟練のスタジオミュージシャンとしても通用するのではないかと思わせるほどの実力だ。彼が固めている土台に適当なコード進行とキャッチーなメロディを乗せるだけで、良質なポップ・ミュージックが簡単に生まれるだろう。

Invisibleman's Deathbed  しかしインビシはそういう安易な道を避けて通る。必要以上のものを常に詰め込む。特にデスベッドのもつ世界観。人の忌み嫌うような歌詞を積極的に採用したり("寄生虫""君の細い首を絞めてみたい")、メロディーに馴染まないような単語をわざわざ乗せたり(この辺ブランキー初期から中期の浅井健一をちょっと思い出す)、ライヴでは湿気と火気は厳禁のハコで水を頭からかぶって叫び喚く。わざわざイメージ的な不協和音を作ろうとしているとしか思えない。

 本日はいつもの最終破壊行為はナシ。ここしばらくのライヴでは行わないことが多いようだ。手探りで手探りで、楽ではない方向を常に探っていく。道なき道を探っていくこのバンドの姿勢が好きだ。消費されていくだけの大量生産型音楽の流れに飲み込まれることなく、ペースと信念をずっと貫けること、そしてザラついた不協和音がもっともっと多くの人の心に引っかかることを祈る。

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