ザ・ロングカット @ 原宿アストロホール (2nd Dec. '05)
トーキョーのみだったけど
原宿アストロホール。収容人数400人というこの会場を訪れるのは初めてである。以前に一度だけ訪れたことのある代官山UNITを彷彿とさせるものの、残念ながら大阪でこの規模の会場は思い当たらない。もしこういったいい会場が大阪にもあれば海外の新人バンドが初めて日本に来る際、「トーキョーのみ」だけでなくオオサカでも公演をすることが可能なのだろうか(いや、やはり難しいのかな)。と、まず始めにそんなことを感じつつ全体に目をやると、開場して間もないにも関わらずステージ前方にはしっかり場所取りをしている人たちが予想以上にいたので驚いた。
開演予定時刻が近くなると、スタッフが「後ろの方が混み合ってきておりますので申し訳ありませんがもう少し前へ詰めて下さい。」と声をかけていた。ふと周囲を見渡すと男性客の割合とても高い。東京だからなのか、バンドの音のタイプにもよるものなのか……。
フジ・ロックの時とは異なり、この日はステージ向かって右側にギター、左側にベースが置かれてあった。どうやらツアー・クルー(ギターのチューニング等をする人)がいられる場所が右側にしかなかったためらしい。
ほぼ定刻通りにメンバーがステージに登場。髪を短く切り、髭を蓄えたボーカル兼ドラマーのスチュワート、明るい笑顔が印象的なギターのリー。そして、いつもいたってクールなベースのジョンが珍しくこの日は満員の客席を見てほんの一瞬だけ照れたような表情をみせた。
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1曲目はフジ・ロックで初披露した新曲" Vitamin C"。静かな曲調のため、オープニングにもってくるとあの時とはまた違った趣があってなかなかのもの(全くの新曲かと思ったくらい)。その後は日本でも発売されたミニ・アルバムに収録されている曲が続き、観客はみなそれぞれにリズムを取ったり踊ったりで会場の温度も上昇しアツイ。さらに、英国でのデビュー・シングルだった"Transition"ともなるとまるでそこはダンスフロアー。個人的なハイライトである"Gravity In Crisis"と"Kiss Off"は初期の作品。この2曲を聞きながら「やっぱり観に来てよかったぁ」とひとり呟く。
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バンド自体、この日はとても調子が良いように見え、特にギターのリーは絶好調だったのではないだろうか。その笑顔もさることながら、時折見せる激しいギター・プレイは一見の価値あり。初めて彼らのライブを見る人は、どうしてもスチュワートに目がいってしまうのは仕方がないのだが(そりゃぁ、歌っていたかと思ったらいきなり後ろへ移動してドラムを叩くのだから「なんじゃ」と思って当然だろう)、3人組であるがゆえに、そのバランスが極めて重要なのではないかと思う。
本編最後はフジ・ロックでも大盛り上がりだった"A Quiet Life"。アンコールには彼らのインストゥルメンタル曲の中で個人的に最も好きな"Spires"。もし彼らのこと知らない人に何か1曲聞いてもらうとすれば間違いなくこの曲を選ぶだろう。いろいろなバンド名を挙げて彼らの音を表現しておられる方は大勢いらっしゃいますが、できれば聞いてもらったほうが早いのは当たり前か(紙媒体では無理なのは分かるけど)。結局、どこの誰とも微妙に違う自分たち独自の音を作ることのできるバンドだからこそ、わざわざ東京に出てきてでもまたライブを見たいと思ったのだ。
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終演後、出口に向かう途中、後ろにいた人たちの会話が聞こえてきた。
「CDだとすごく無機質に聞こえたけど、ライブだと全然違ったよねぇ。」
まさにそれこそが彼らの魅力だと思うし、だからこそ「ライブ」と表現方法が存在するのではないだろうか。ライブでしか味わうことのできないグルーブ感のようなものとスタジオでしか表現できないもの。そしてそのバランスもまた重要。
そんな彼らのスタジオでしか作れない音の結晶であるアルバムなのだが、初期のマッシヴ・アタックを手がけた人物によるプロデュースの下、ロンドンのコンク・スタジオで録音され、TV On The Radioを手がけた人物(というかそのバンドのメンバー本人だと思うけど)によるミックス作業も近々終了する予定とのこと。来春にはそれらの音をデビュー・アルバムというカタチで届けてくれるであろう。そして、その際にはここ日本でも、もっとより多くの人にライブでしか味わえない彼らを味わってもらいたい。ビールを飲んで踊りまくるのもよし、体を揺らしながらじっくりと耳を傾けるもよし。再来日(できれば来阪)を切に願う。
set list
Vitamin C/
A Last Act of Desperate Men/
Dead Man/
Late Night Bus/
Transition/
Gravity In Crisis/
Kiss Off/
Idiot Check/
A Tried and Tested Method/
A Quiet Life/(encore)Spires
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review by miyo and photos by mari
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