buttonマンホール @ 新宿レッドクロス (26th Nov '05)

「ひと」が歌う音楽
Manhole
 スキンヘッドにアコースティックギター。ステージに現れただけでオーラのような「何か」をビリビリと感じる。久家(v&g)が眉間にシワを寄せて辺りを見回すと同時に、ガムテープで貼付けられたピックアップが弦の振動を拾い、スピーカーからブルースを響かせる。

「うわっ」

Manhole  それが第一印象。次の瞬間、いつ以来かの鳥肌が全身にたっているのを感じた。一曲目から目はイっている。そして歌うというよりも「吠える」というイメージ。それはただデカイ声でめちゃくちゃやっているという意味ではない。言葉や音を、客でも何に対してでもなく、ただ自分から外へ向けて放出しているように見える。それでいてどこか親しみが湧いてくるのは、彼らの世界と僕らの世界が近いところにあるからだ。先人たちへの尊敬、恋、苛立ち、悲しみ、希望。そういった誰にでもある感情を吠え続ける姿に、少しだけ自分を重ねる。彼らが僕でなければ代弁者でもない。ただ個々の人間として少しだけ重なるのだ。ガムテープだらけの久家のアコースティック・ギターからはそういった感情が聴こえてくるように思う。

 そんな久家の"人間くさい"ブルースに坂口(g)のテレキャスターとショウジ(d)のタイトだがゆったりとしたリズムが加わると、向かう所敵なし。辺りを蹴散らすブルース・ジェットコースターになるのだ。古いブルースにパブ・ロックやガレージ等の影響も垣間見えるリズム&ブルース、そこに「和」な要素がこれでもかと散りばめられたマンホールの音は例えるなら芋焼酎。荒くてクセもあり香りの強い酒だが、その香りの中には「甘み」がる。それが旨い酒なら呑まないワケにはいかない。酔いつぶれるまで今夜は飲み明かそうじゃないか。

Manhole  旨い酒もそうだが、音楽も出会いはいつも突然やってくる。友人にCDを借りたり、ラジオからたまたま流れてきたり、偶然その場に居合わせたり。きっかけは様々だが、ほとんどが偶然の出会い。僕の好きな音楽もそうだったし、今回のマンホールもそう。正直、いくら人から「いいよ!」と言われても、自分の耳で聴く(観る)までは半信半疑の部分がある。でも、その偶然の中の一瞬でここまで引きつけられてしまうと、中々抜け出せない(もっとも、抜け出そうとも思わないが)。いきなり目の前に現れて人を釘付けにするなんて、どこぞの美人が現れる時くらいだろう。

 スタイリッシュな物が良しとされ、当たり障りの無い万人にウケるものが主なこの時代に、こんな人間達がいるのだからまだまだ捨てたもんじゃない。文字通り「我が道」を行く、無骨で荒々しく、どこか温かみのあるブルースにまた酔いつぶれたいと思う。

report by taisuke and photos by sam
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