Oasis @ Yoyogi Daiichi Taiikukan (18th Nov '05)
ファンがライヴをつくりあげるのだ
オアシスのライヴは客のパワーがすごい。超絶技巧の演奏を聴かせるわけでもないし、派手なパフォーマンスを行うわけでもない。それでも「家でCD聴いてりゃいいや」と言い捨てることがなかなかできないのは、昨年グラストンバリー・フェスティバルで体験したあの地響きのような尋常じゃない大合唱がいまだに耳に残っているからだ。
いいライヴの要素っては演奏の完成度だけではなく、そこで得たエネルギーや観客同士の一体感というのも大きな比重を占める。忘れかけていたその感覚を思い出させてくれたのが去年のオアシスだった。「こりゃなんだかんだいって認めねーわけにはいかねーな」と思わずにはいられなかった。粗を探そうと思えばいくらでも見つけられるけど、そういった小さなイチャモンをすべてねじ伏せてしまう圧倒的な説得力がそこにはあった。
とはいうものの、今まで日本でオアシスを観た事はなかったし、そこには一抹の不安も感じていた。はたしてあのイギリス人が作り上げる訳のわからない盛り上がりは日本でも再現されているのか? 結論をいうと、まあやっぱり、「質」は違った。ステージの状態が今どうであろうがガンガンに感情をぶつけていた英国人に較べると、この日の代々木では日本人特有の遠慮みたいなものが節々に感じられるような気はした。しかし、それはそれ、これはこれだ。言葉もまるで違う民族の人間が歌詞をすべて覚え、必死に声を振り絞って歌をステージに"返そうと"する姿は、本国では決して得ることのできない別種の感動があったように思う。
演奏自体はやはりお世辞にも上手いとはいえない。それでも曲の良さとそこに集結したファンが全てをチャラにしている。リアムが短く曲名を叫ぶたびに悲鳴のような歓声が起こる。いまだに1st、2ndからの曲が主たる人気だけれども、"MASTERPLAN"のような佳曲の反応も悪くなかった。10年後、まだオアシスが現役だったら、この歌も"Don't look back in anger"のような定番の地位まで昇りつめているかもしれない。正にファンに支えられているバンドであり、ファンが楽曲を育てているバンドだなと思った。
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report by joe and photos by ryota
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