ハード・ファイ @ リキッドルーム恵比寿
Diskaって何ですか?
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UKのミュージック・シーンに疎い私が、なぜ今回まったく知りもしないバンドであるハード・ファイのライヴを見に行く気になったのか。それは、「Diska(ディスカ)」とメディアが表現した彼らの音楽が、一体どんなものなのか聴いてみたかったというのが一番の理由。そして、その気持ちを煽るように彼らのバイオに書かれた「各英国音楽誌がこぞって絶賛」、「次代の最も注目すべきイギリスの新人バンド」というコメント。それに踊らされて先物買い的な気持ちが後押しした。個性的なUKバンドの活躍が目立つこのごろ(しかも踊らすロック系)、「Diska」という新しいジャンルに興味を抱いた。ライヴ当日まで彼らのCDを何十回聴いてもわからなかった「Diska」。それって何なのよという疑問と期待を抱き、それを体感すべくリキッドルームへと向った。
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会場に着くとすでにオープニング・アクトのロデオキャブレターは、棒立ち状態の観客を前に、爆音炸裂パフォーマンスをこれでもかってくらいお見舞いしている最中だった。マンチェスターで行われたミュージック・コンベンションにも出演した経験を持つ彼らは、イギリスでなかなかの評価を得ているようだが、そのハードなリフ、ライダース調のスタイル、クタクタになるまで全身全霊を注いでパフォーマンスする姿は、その場の日本人の観客にはなかなか伝わりきれていない感があったみたいだ。
ハード・ファイ出演までのセット・チェンジの間に、場内はどんどん人で溢れていった。東京公演ソールド・アウト。私の周りでは誰一人知らないこのバンドでも、耳の早いファンがこんなにいるのかと驚くほどに人がギッシリだった。
20時を回った頃、暗転と共にピアニカのメロディに合わせた幻想的な音楽(イントロ)が静かに鳴り響いた。その音楽をバックにハード・ファイがステージに上がり、ハードなロック・ナンバー"Middle Eastern Holiday"が始まると、リキッドの床が上下に激しく揺れ、しょっぱなから「オー、オー、オー」と観客の見事な掛け声。一発目でガツンと一気にハード・ファイ・ペースへと持ち込み、場内は夢中になって高ぶった熱気でいっぱいになった。メンバーも最初からテンションを最高潮まで持っていって、熱く激しく煽るパフォーマンス。一曲ずつ進むにつれて、私も彼らのライヴに飲み込まれていった。ハード・ファイはただロックでガナるだけの硬派なロック・バンドではなかった。これは、なんだかとっても面白くてクールなバンドなのかもしれない。
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ハード・ファイは、イギリスのステインズというスラム地区出身の4人組。豊かな環境で成長してきた青年たちではない。メンバーは垢抜けた風貌でもなければ、お洒落な装いでもない。ヴォーカリストのリチャードは、幼い表情(UK特有の立派な太い眉毛が目立つ)で、他のメンバー(ギターリストのロス、ベーシストのカイ、ドラマーのスティーヴ)も、いたって普通の青年風の、どちらかというと大人しいカンジ。10代の若者のような初々しさが残ってる(恐らく年齢は、20代半ば)。そんな彼らの演奏は正確で、パフォーマンスは堂に入っている。若さやエネルギーだけで突っ走っているわけではなく、強くて明確な意思を持った青年たちが訴えかける、ギラリと光るハングリー精神を持った目の力、それとともに音楽を楽しむ恍惚感のようなものが彼らの全身から感じられた。
ノリが良くてカッコイイ"Gotta Reason"は、CDで聴く以上の疾走感でキャッチーさが観客のノリをよい一層盛り上げて乗らせる。これ、こんなにカッコイイ曲だったっけ?なんて思いながら、身体がビートに合わせて自然と軽快にリズムを刻んでた。観客のシンガロンも充分に盛り上がる"Unnecessary Trouble"では、ピアニカやレゲエ調のメロディ、シンセの音が効果的に曲を盛り上げていく。このバンドは、ライヴで本領発揮するタイプだろう。ただそこに偶然居合わせて初めて見る私も、どんどん自分の気分が高揚していくのがわかる。
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イギリスの曇ったグレイでダークな空を思わせる"Better Do Better"や、ややストリングスの効果を絡めた"Feltham Is Singing Out"は、ガラッと雰囲気が変わり、柔らかくてちょっと陰鬱なメロディが、美しくて壮大でとても印象的だ。曲のバリエーションは幅広いものを持っているように感じる。ロックを単なるロックに終わらせることなく、そこにスカやダブ、レゲエ、80’sのテイストを織り交ぜ、ハード・ファイ独自の新たなスタイルの音を生み出している。ハード・ファイの場合、そこにスカコアのザ・スペシャルズやニュー・ウェイヴのロータス・イーターズの影響が上手く盛り込まれているらしい。これが「Diska」と呼ばれる所以なのか?踊れるスカ、ってことなんでしょう。ロックの新境地を開拓したハード・ファイは、だからこれまでのロック・バンドと一線を画したバンドとして注目されているのだろう。
一段と観客のリアクションが大きかった“Tied Up To Tight"は、どことなくクラッシュの"London Calling"を彷彿させる。彼らは"クラッシュの再来"とまで言われているらしい。反骨精神、ハングリーさ、弱者の社会への訴え、若者たちの代弁役。最近ではザ・デッド60'sのようにクラッシュの精神を引き継ぐバンドはイギリスには多いんだろう。ハード・ファイも然り。
ヴォーカリストのリチャードの吹くピアニカが、ゴリッとしたロックのサウンドにキャッチーさを添えていて、それもかなり強い印象を与える。ピアニカを使うロック・バンドは初めだ。ピアニカの音は、妙にノスタルジアで切ない気持ちにさせる。そして、そのピアニカのイントロで大歓声が上がったのが"Cash Machine"。あのNMEで"シングル・オブ・ザ・ウィーク"に選ばれたこの曲は、観客の興奮に火を点け、待ってましたとばかりにリチャードの向けるマイクに向って大合唱が響いた。続けてラストに贈られた"Hard to Beat"。80’sのダンス・ミュージックをイントロに持ってきて、ロックとは少し離れたディスコティック調で、今までのステージと一瞬にして世界が変わった。これは面白いアレンジだ。
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本編が終わると、誰が始めたのか観客から湧き上がった「ハード・ファイ!」(ハーファイに聞こえる)の掛け声とリズムを取る手拍子。まるでそこはサッカー観戦をしている会場のような雰囲気になった。その大きなコールに迎えられてリチャードが一人、ギターを抱えてステージに現れ、"Move On Now"をプレイ。聴き入る観客の耳に、そっと届けられるリチャードの歌声は、これまでのパフォーマンスとは打って変わった趣に。そして、メンバーが戻ってアルバムのタイトル曲"Stars Of CCTV"、トリも80’sのディスコ・サウンドをミックスした、ブリティッシュ・ロック・テイストの"Living For The Weekend"。全然知らないバンドを見る時に抱く不安なんかキレイさっぱり忘れさせてくれた。歌って踊って盛り上げる、気持ちのいいノリのライヴだった。知らなくても、ライヴは見てみるもんだ。
"Feltham Is Singing Out"、"Stars Of CCTV"はメロディの繊細さとロックが絶妙に絡み合ってカッコイイ曲だった。何よりも、彼らのライヴ・パフォーマンスと生で聴くハード・ファイの音はCDで聴くより何十倍もハードでエネルギッシュで、ビリビリと神経を刺激して、こういう音楽もいいな。ハード・ファイ!正に今後、要注目のバンドなのかもしれない。
-- setlist --
1.Intro/2.Middle Eastern Holiday/3.Gotta Reason/4.Unnecessary Trouble/5.Better Do Better/
6.Tied Up 2 Tight/7.Feltham/8.7 Nation Army/9.Cash Machine/10.Hard 2 Beat
-- encore. --
1.Move On Now/2.Stars Of Cctv/3.Living For The Weekend
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report by ali and photos by izumikuma
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mag files : Hard-Fi
six months later : (05/11/15 @ Shinsaibashi Club Quattro) : review by miyo
Diskaって何ですか? : (05/11/14 @ Liquidroom Ebisu) : review by ali,photos by izumikuma
photo report : (05/11/14 @ Liquidroom Ebisu) : photo by izumikuma
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