フィーダー @ 渋谷AX (8th Nov '05)
温かさと優しさを伝えるロック
2001年のフジロックのレッド・マーキーで見たのが、私にとって初めてのフィーダーのライヴだった。名前しか知らない彼らに対する私のイメージは、「まったりした曲をやるバンド」。それが、力強く発せられて気持ち良く乗れるロックから悲壮感漂うバラードまで、フィーダーの音はどの曲もくっきりと聴く人に印象を残し、私のイメージは見事に玉砕されたわけだ。飛び交う風船やクラウド・サーフィンする人々。スピード感充分にオーディエンスを煽って、でもメロディが際立ってずっとオーディエンスを痺れっぱなしにするバンド。正に衝撃だった。私は、彼らの音と自信に満ちたライヴ・パフォーマンスに胸を打ちぬかれたんだった。上手くいい表せないほど全身で感じた興奮と彼らの曲が忘れられなくて、来日公演へ足を運んだ。この日のライヴが終わり表に出ると、自然と涙が溢れてた。見上げた空に光る星が一つ。感動したって言葉で言うのは簡単だけど、こんなに身体と気持ちまで潤す感動って、なかなか味わえるもんじゃない。
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今年フジロックにも出演したフィーダー、約2年半ぶりの単独公演。待ちわびたファンでAXはギッシリだった。場内の照明が暗くなると、歓声といっぱいの拍手に迎えられてメンバーがステージに登場した。なんとなく、そのオーディエンスの迎える様子が、ものすごく温かく感じられた。朝陽のように柔らかい照明に照らされて始まった、ニュー・アルバム『Pushing The Senses』からの"Feeling A Moment"。これを聴いた瞬間に実感した、自分が求めていて聴いておくべきなのはこういう音なんだと。優しくて、オブラートのようにそっと気持ちを包み込んでくれるような曲。それがフィーダーのたまらなく切なくなる音の世界だ。
セットリストは、新しいアルバムがメインというよりも、ファンが聴きたい曲を選りすぐったような選曲になっていたように思う。それは、どの曲でもイントロで湧きあがる歓声でわかる。"Shatter"、"Come Back Around"、"Insomnia"とロックでノリのいい曲が立て続けにプレイされていく。オーディエンスにとっても、きっとはずせないだろう曲の連続に、ギッシリ詰まったフロアは気持ち良くリズムに合わせて、手をいっぱいに伸ばしてジャンプを繰り返す。そして、フィーダーがようやく成功を手に入れるきっかけになり、彼らを国民的バンドにした"Buck Rogers"。ふと、NHK番組「トップランナー」に出演した時のベーシストのタカさんの言葉が蘇った。音楽への情熱だけでひたむきに続けたフィーダー。「夢は自分から一歩踏み出さないと自分に向ってこないんだ。」それを思いながら感無量の思いで聴いた"Buck Rogers"。オーディエンスの一段と大きく沸きあがった喜びと興奮の歓声、ヴォーカルのグラントの煽り通り、響き渡った大合唱。胸にグッと熱いものが込み上げてきた。
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グラントの歌声とタカさんのハーモニーが、穏やかに流れてくる耳に届けられる"Just The Way I’m Feeling"や"Tender"は、感傷の心が沸くグラントの紡ぎだすメロディの美しさが際立って、吸い込まれていくような感覚になる。曲を書くヴォーカル/ギターリストのグラントは、「メロディをとても大切にする人だ」と、これもトップランナーの中でタカさんが言っていた。ジンワリと気持ちに沁みてきて、あまりにも温かくて、でも力強さも持ち合わせて、聴く人に真っ直ぐ届いて、グッと胸に突き刺さるメロディ。これがフィーダーの持ち味であり、強みでもあり、多くの人に支持されるところだろう。“Pushing The Senses"の後のMCでも、「トップランナー」に出演した時の話をグラントがしていた。タカさんも、「国民的スターになった」とまで言ったりしていた。私もその番組を見たおかげで、フィーダーをもっと深く知ることができたように思う。
続けて新しいアルバムからの"Bitter Glass"と"Pilgrim Soul"、そこから初期の"High"へと流れていく。オーディエンスの興奮をどんどんと煽って、乗らせてフィーダー・ワールドにグイグイ引きずり込んでいく。新しい曲と言っていた(と思う)"Burn the Bridges"でもじっくりとオーディエンスは聴き入っていた。"We Can’t Rewind"、"Change"は今よりも少し重低音が強めでも、メロディの繊細さはその重低音に負けていない。本編ラストは、"Descend"と"Godzilla"のヘヴィで轟音、かつエッジの効いた、ちょっとテイストの違う曲で渋く締めくくり。まだまだもっとフィーダーの音に浸っていたい気持ちで、オーディエンスからの熱いアンコールの呼び声は鳴り止まない。
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アンコールは、"Tumble & Fall"、"Seven Days"でオーディエンスのノリも復活で最高潮になった。聞こえてくる大合唱。ステージ上のメンバーも、とびきりの笑顔で心底楽しそうにプレイしている。それが終わると、突然タカさんがこんな事をオーディエンスに問いかけた。「ステージに上がって踊りたいヤツ、上がってこい。セキュリティには言ってあるから。」その呼びかけに20〜30人が上がり、曲が進むにつれてどんどん人がステージ上に増えていく。そんなオーディエンスに囲まれて演ったラストの曲は、"Just A Day"。ステージに上がったオーディエンスがキラキラした笑顔で歌ってる。見ると、タカさんは誰かに肩車されながらベースを弾いていた。ファンとフィーダーが一体になったステージ上は、喜びと楽しさと幸せでいっぱいになっていた。そんな光景を見ていたら、こっちまで楽しくなって、幸福感が胸いっぱいにパーッと広がって、たまらない気持ちになった。そんな気持ちを胸に残したままAXを出たら、スッと涙が溢れてきた。
フィーダーの曲であんなに楽しそうに盛り上がるファンを見て、日本でもブレイクしたいというフィーダーの思いは、少しずつ実現に向っているように思える。どう思ったかな、タカさん。あまりに簡単すぎる言い方だけど、フィーダーの温かい音に包まれて、至極感動するライヴだった。涙が引いた後、公園通りを歩く私はライヴを思い出して笑顔になっていた。
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今は亡きジョンを思った。大切な友人であり、無くてはならない存在だったジョンの話しをして言葉に詰まってしまったタカさん。テレビの画面を通してもその痛いほど辛く悔しく悲しい気持ちが伝わってきた。フィーダーの曲は、強さとぬくもりと優しさに溢れている。人は、とても大切なものを永遠に失って悲しみを乗り越えると、人一倍優しくなれるのかな。「音楽をやっていないと辛くなる」と言って必死に打ち込んで作り上げた4作目『Comfort In Sound』。その中の"Come Back Around"で、「come back around, I miss you around(もう一度戻ってこい)」って遠くに届けるようにささ歌っているのは、ジョンへの想いなのか。なんて思うのは深読みしすぎかな。グラントもタカさんも、とっても楽しそうにプレイしていた。だから、こういう湿っぽい話は、彼らに失礼なのかもしれない。そう新生フィーダーは、きっとこれからも聴く人の心に響く最高のメロディをたくさん届けてくれるに違いない。だから、まだ持ってないアルバムを揃えて、もっともっとフィーダーを知っていこう、そして次に彼らに会える日を楽しみに待とう。
set list (原文のまま)
Feeling A Moment / Shatter / Come Back Around / Insomnia / Buck Rogers / Just the way I’m feeling / Tender / Pushing the senses / Bitter glass / Pilgrim Soul / High / Burn the Bridges / My perfect day-----?? / Rewind / Changes / Descend / GODZILLA
encore: Tumble & fall / 7 Days / Just a day
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review by ali and photos by ryota
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温かさと優しさを伝えるロック : (05/11/08 @ Shibuya AX) : review by ali, photos by ryota
photo report : (05/11/08 @ Shibuya AX) : photos by ryota
photo report : (05/11/07 @ Shinsaibashi Club Quattro) : photos by tommy
また会うことができて本当に良かった : (03/03/24 @ Shibuya Club Quattro) : review by takao, photos by mari
photo report : (03/03/24 @ Shibuya Club Quattro) : photos by mari
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