button二階堂和美 @ ザー・ザ・ズー代々木 (7th Nov '05)

どこでもニカイド、どこにもニカイド

二階堂和美
 かえりの会、机を下げる。引きずらないよう持ち上げて運ぶ机。道具箱、そのなかに入っていたハサミの形、木工用ボンドの先っちょ、たわいないものほど鮮明に覚えていることがある。派手な子は覚えているけど、地味な子も覚えている。掃除の時間にホウキをマイクのようにして歌っている子、たしかに居た。二階堂和美がそんな子だったという話を彼女本人から聞いたとき、びっくりするほどすんなり理解できたことに自分自身ビックリ。それと同時に、ボクの記憶に居る"地味目で歌が好きな子"は今なにをしているだろう... と、ふと立ち止まって考えてみたくなった。わかるはずもないのだけど。

二階堂和美  10月15日、ロウ・ライフというイヴェントがあり、二階堂和美はそこで歌を歌った。このイヴェント自体、ハードコア、ヒップホップ、ハウス、他もろもろガチャガチャした音楽を箱詰めしたようなものだったけれど、そこには狂騒と(各人による)規律が平等に存在するへんてこな一体感があったように思う。そういったギリギリ面白い環境にまさしくジャンルやノリを超えて彼女は演奏したわけだけど、これがまた素晴らし過ぎた。まわりを"異"で囲まれるなんてことは、教室で歌っていた頃とたいして変わらない環境? なんて思うわけで、むしろ彼女にとっては理想的な状況なのかも。そう思うとやたらカッコエエひとだ、ニカさん。

 そんな二階堂和美、完全にジャンルで包囲された11月7日代々木のライヴである。ほか今までに観たバーリトゥードな場とは違うので、いつものマジックが生まれないのではという心配が浮かばなくもないが、実際のところ彼女はむしろシンガー系のジャンルに認知されていないのでは? という印象がライヴを観たあと強く残った。というのも、もちろん彼女の技や情感表現が成せる拍手であったのだけど、拍手の隙間から「すっごいもん観たー」と初々しい声が聞こえてきそうな、そんな感覚があったからで、そんな逆転現象もオモシロイこの日のライヴでありました。

二階堂和美  ステージはまさしくひとりの舞台。いつものまるっこいギターが、そこにカプっと付けられたカポが、なんもかもいつも通りなのに、そこに立っているひとが全然違うパフォーマンスをみせてくれる。数曲目に披露された笠置シヅ子の"アイレ可愛や"、この曲で序盤にしてボクを含め多くの観客は度肝を抜かれ、それも今日は芝居がかった動きに磨きがかかっていて、フロアから微笑ましい笑い声がこぼれる瞬間も。しかしこの曲然り、いつどのように聴いても新鮮に笑える、笑顔あふれる。

 二階堂和美の予測不可能な感じは、楽曲の素質以上に彼女のほにゃり具合が多大に影響を与えている模様。この日もそれこそ柔軟に「エレガントな感じでやってみました〜」と言っておりましたが、観客はエレガントとかほかして、ステージに立つ二階堂和美を観てただただ感動していたことと思われ。

 いや、しかしなんだかんだ言って、この日もうまいメシが食えそうな素敵ライヴ、たまりませんわ。どこでもニカイドこれからも。いろんなリングで会いましょう。
二階堂和美
report by toddy and photos by saya38
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