ザ・キャプテンズ @ 代官山UNIT (28th Oct. '05)
「これまで」と「これから」
東京では2回目になる単独ライヴ、前回と比べ会場がひと回り大きくなって代官山UNITである。ライヴが始まる前にサミー前田のDJがあった。自分がフロアに入ったときには、DJというより、GS関連の映像を流していて、オックスやドラマ『東京バイパス指令』などの当時の映像を観ることができた。そして、11月30日発売のシングル"太陽は知っている"のショートムーヴィーが流れるとフロアは爆笑の渦。昭和の特撮映画と任侠モノと学園モノとワイヤーアクションとドタバタコメディが合体した傑作である。
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そして"ペルシャの市場にて"がながれてメンバーが登場する。ヨースケ、テッド、ヒザシはいつもの通りの登場の仕方だったけど、傷彦は長ドスっていうか日本刀というのか振り回し登場なんだが、そういうのって日本ではロマンポルシェ。くらいなものだろう。海外だと、かつてパブリック・エナミーの護衛をやっていたセキュリティー・オブ・ザ・ファースト・ワールドも刀を振り回していたけど。
小ネタ満載の楽しい約2時間だった。インタビューした際に、音楽とお笑いの比率は?と聞くと「どっちも100%です」という答えが返ってきたけど、まさにその通りのどちらにも100%なステージだった。この日は傷彦だけでなく、それぞれに見せ場があった。傷彦と同じくらいの活躍をみせたのはヒザシで「番長」と書いたTシャツを着て"遠藤中学校番長男小唄"を歌い、コメディアンとしての存在感を十分に発揮する。"クレオパトラ・ブーガルー"での中近東ぽい旋律のギターソロがあるかと思えば、ミッシェルガン・エレファントばりのカッティングの冴えを見せて技の幅の広さを感じさせる。ヨースケのロックンロールにドライヴしていくドラミングはガレージ的な迫力があり、セットを壊さんばかりの破壊的なプレイは爽快だった。テッドは太くて印象的なベースラインを聴かせてくれる。"恋するマタドール"のイントロで「テッド!テッド!」と歓声が上がるのはいつものことなんだけども、この日は"二人の世界"の前にベースソロのコーナーがあったのだ。決して「傷彦withバックバンド」でない。衣裳換え前には、傷彦不在の3人だけで"ワンツードーンのテーマ"を演奏する。
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傷彦は衣裳換えの後に、ランボーの詩を読んだり、"恋するマタドール"でマタドール姿に扮し、"恋のゼロハン"では、バイク(と言っても、ハンドルとライトだけなんで、いつもここからの「どけどけ〜!バカヤローコノヤローメ」を思い出させるのだった)姿になったり盛り沢山。"砂浜ラブレター"では、ハート形でいつもより大きいラブレターを投げ配り、それから"失神天国〜恋をしようよ〜"では、お馴染みの失神。最後は、次のツアーのタイトル「夕陽のガンマン」に合わせて、カウボーイハットにベストという出で立ちでピストルをお客さんに向ける。刀で始まり、銃で終るという構成だった。
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キャプテンズほど、分かりやすい音楽をやっているバンドもないだろう。キャッチーなメロディと、初めて聴いても頭の中にイメージを作るのが容易な歌詞、そして8ビートが基本のロックンロールでキャプテンズの世界は成り立っている。そんなに分かりやすく、親しみやすいのに、しかし、依然として彼らは謎の存在である。何故グループサウンズなのか、何故ここまでエンターテイメントなのか、それでいて何故ロックンロールの魂を感じさせるのか。インタビューしたり、CDを何回聴いたところで――知った気になることは、いくらでもできるだろうが――やはり謎なのだ。この日のライヴでも、この謎についてずっと考えていた。その謎に惹かれて、キャプテンズのライヴに通い続けるのだ。
キャプテンズの「これまで」を丁寧に振り返り、ちゃんと「これから」を期待させてくれるというライヴであった。そして間を置かずに次のツアーが始まり、来年には、また東京での単独ライヴが予定されている。キャプテンズは、まだ始まったばかりだ。
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set list
お前一番星/青春ゴーゴゴー/クレオパトラ・ブーガルー/メンバー紹介/二人はダイヤモンド/太陽は知っている/砂浜ラブレター/テッドのベースソロ/二人の世界/フーアーユー〜遠藤中学番長男小唄/ワンツードーンのテーマ/傷彦の朗読/月影/失神天国〜恋をしようよ〜/恋は赤道直下/夕焼けサンドビーチ
encore1
恋するマタドール/トンネル天国(ザ・ダイナマイツのカヴァー)
encore2
恋のゼロハン
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report by nob and photos by saya38
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mag files : The Captains
「これまで」と「これから」 (05/10/28 @ Daikanyama Unit) : review by nob, photos by mari
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photo report (05/05/04 @ Shibuya O-Crest) : photos by izumikuma
illustration report (05/04/12 @ Nagoya Sonset Strip) : illustration by chika
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