Doo Bee Fes vol.1 feat. Warsaw Village Band, Kilema, OKI, The Tehran Brothers @ Sunsui Unagidani (8th Oct. '05)
テヘラン〜ワルシャワ〜マダガスカル〜そしてアイヌ
- Warsaw Village Band -
『ロンドン〜ワルシャワ〜ニューヨーク』とはバーシアの名盤だったが、イラン、ポーランド、マダガスカル、それにハスカップ(北海道)を代表するアーティストが一同に会したDoo Bee Fes vol.1、その目玉とも言えるのが本邦初公演となったワルシャワ・ヴィレッジ・バンドだ。昨年のWOMEX (World Music Expo)ではセウ・ジョルジ、ダーラJ、
バ・シソッコなど今をときめく世界中のアーティストがラインアップされていたなか、注目株の筆頭に上げられていたというし、ポルトガルの前衛的なファド歌手マリーザ('03 Best Europian Act)やバルセロナ発フラメンコとヒップホップ、ヒターノ、ルンバの邂逅オホス・デ・ブルッホ('04 Best Europian Act)、セネガルのエスノかつプリミティヴなヒップホップ・グループのダーラJ('04 Best African Act)など、実力も芸術性も秀逸の好アーティストが受賞しているBBC Radio 3 Award for World Music、その04年度新人賞に輝いたという御墨付き。当初は今年のフジロックにも出演が噂されていたが叶わず、
残念な思いをしていた矢先の来日実現となったのだが、今もっとも乗りに乗っている時期だろう。
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「ポーランドでいちばん有名な作曲家はショパンだけど、ショパンの曲は演奏しないよ」 チェロと2本のフィドル、琴のような鉄弦をティースプーンのような木製のバチで打つハンマー・ダルシマー、ボーランに似た平たい打楽器とマーチング・ドラム(には小さなシンバルやトライアングルが括られていてチンドン太鼓風)といった民族楽器が渾然一体となって描き出すのは、タイトで、太く、とぐろを巻くようにうねり、猛る、トランス感覚満点のなんとも不思議なサウンド。トラッドを基礎にしてトランシーに展開するグルーヴ、といえばアイルランドのキーラとも親近性を感じるが、エレキベースもドラムセットもないなかでの津波のようなグルーヴに、まず圧倒される。各所での注目と評価もなるほどとうなずける。 |
そんな演奏に勝るとも劣らない迫力で共鳴するのが、フロントの女性陣3人がユニゾンするヴォーカル。元々は羊飼いたちの伝統的な歌唱をアレンジしているというその凛とした響きは、やはり凍てついたスラヴ的でもあり、どこか無国籍でオリエンタルな趣きも感じられる。マーチング・ドラムのコンビにしろ、チェロを時折チョッパー風に指で弾いたり、叩いたりする奏法も、多分にロマの要素も混在しているのだろうし、彼らの出身地域の伝統音楽にはスカンジナヴィア音楽との関係も深いのだとか。 |
90年代初頭、民主化直後のポーランドで起こった〈ハードコア・フォーク〉というムーヴメントから飛び出した彼らが、今「ポーランドのザ・ポーグス」と称されるのも納得できる。彼らは自身のサウンドを「バイオ・テクノだ」と表現しているが、そのとき自身のルーツに、ボーダレスな記号性をもつ融合媒体として手にしたのは、錆びついたパンクの攻撃性ではなく、テクノやトランスといったクラブ・ミュージックの陶酔感と未来性だったわけだ。この時空横断的な不思議なサウンドとグルーヴに、ふとウィリアム・ギブスンの小説を連想してしまった。そういえば彼の作品にもヴォイテックという名のポーランド人が登場する。ドレッド・ヘアと奇妙なパラシュート・パンツ姿でフィドルを無造作に掻くメンバーと、同じ名前だった。 |
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2005
感性を原体験にするジャズ : 矢野沙織 (6th May. @ Blue Note Osaka)
OUT OF THIS WORLD : shiba in car, Youcan, Kumi (24th Apr. @ jaz'room "nuthings")
この美しさは… : Mozaik, Soul Flower Mononoke Summit, Shigeru Kishida (5th Apr. @ Shinsaibashi Club Quattro)
ありやまなお湯だ !! : 有山じゅんじ, ゴーゴー木村他 (28th Mar. @ Naniwa Onsen)
ビッグバンを垣間見る : Ozomatli (16th Mar. @ Shinsaibashi Club Quattro)
語りかけると、彼の音楽がわかります : Tete, cutman-booche (15th Mar. @ Shinsaibashi Club Quattro)
有山じゅんじ (25th Feb. @ 安治川ヒポポタマス)
おんなボーカル歌合戦 : feat.FREE FROM DISGUISE, shiba in car, ひでこりべ るたんset, WEDNESDAY_EVE (13th Feb @ Namba Bears)
photo report | 心象風景の ピアノフォルテ : リクオ (30th Jan @ Juttoku Kyoto)
世代を超えた贅沢な一夜 : ありやまな夜だ!! 新春ス ペシャル feat. 有山じゅんじ, ムーヤン , saigenji, 高田 漣 , TOMOVSKY, リクオ (28th Jan @ Chicken George Kobe)
10年分のイャサ、ホォヤ : 『つづらおりの宴』feat. ソ ウル・フラワー・モノノケ・サミット、山口洋 etc. (16th Jan @ 長田神社)
2004
iphoto report : 矢野沙織 (18th Dec. @ Osaka Royal Horse)
「ザ・クラッシュ→フェルミン→ベタガリ」 : BETAGARR, GELUGUGU, COBRA (12th Nov. @ King Cobra)
interview : 続 : 極東戦線異状あり : 中川敬 (Soul Flower Union) (12th Nov.)
日本とキューバ、新しい才能の共演 : 矢野沙織 with ALEX CUBA BAND (28th Oct. @ Shinsaibashi Club Quattro )
CD review : 『Humo De Tabaco』 : ALEX CUBA BAND (19th Oct)
愛おしいファド ~カティア・ゲレイロという響き : Katia Guerreiro (28th Sept. @ Shinosaka Melpark Hall )
旨い酒のように : Soul Flower Union (26th Sept. @ Shinsaibashi Club Quattro )
interview : 極東戦線異状あり : 中川敬 (Soul Flower Union) (20th Sept.)
CD Review : Nas Maos Do Fad - ファドに抱かれて : Katia Guerreiro (6th Sept.)
かわちながの世界民族音楽祭 〜トランス・ヨーロッパ・フェス〜 : FANFARE CHIOCARLIA, THINK OF ONE and KiLA (29th Aug. @ Kawachinagano Lovely Hall )
波の音が聞こえない : Jack Johnson & Donavon Frankenreiter (4th Aug. @ Namba Hatch )
謙虚さと幸福のカタルシス : FERMIN MUGURUZA KONTRABANDA in Radical Music Network Festival (27th July. @ Club Chitta Kawasaki )
侘び寂び : Cat Powerand Women & Children (1st Jun @ Shinsaibashi Club Quattro )
ローマ -ベティ・イサンゴ・ドゥグ・ビルバオ- : Street Beat Festival (18th Apr. @ Piazza dei Tribuni in Rome )
ミラノ -ボブ・マーリーとジョー・ストラマーと- : Street Beat Festival (17th Apr. @ Leonkavallo in Milan )
ボルツァーノ -bad dog outside!- : Street Beat Festival (16th Apr. @ Ku.Bo in Bolzano )
ボローニャ -赤い街から煙る街へ- : Street Beat Festival (15th Apr. @ Estragon in Bologna )
フィレンツェ -日本にはない空気- : Street Beat Festival (14th Apr. @ Auditorium Flog in Firenze )
祭りだ、祭り : Shibusa Shirazu (10th Mar @ Shinsaibashi Club Quattro )
ポストモダン・ニンジャたちに時代は追いついたか : NINJA TUNE (4th Mar @ Osaka Mother Hall)
沖縄小旅行〜国際通りの喧噪と喜納昌吉&チャンプルーズ、基地の町嘉手 : (Mar @ Okinawa)
泥酔エンターテイナー : Gaz Mayall (13th Mar @ Osaka Big Cat)
Amore E Odio : Banda Bassotti (3rd Apr.)
僕たちはみんな同じ血の色をしている : Soul Flower Union (9th Mar @ Osaka Banana Hall)
これほど罪深いものは、ない : Ben Harper & The Innocent Crimiinals (1st Mar @ Namba Hatch)
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